電車に乗ってから……
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スゥッ
電車には人が結構いて、満員とまでは行かないけど、私たちは立っていた……
そしたらまさかのことに、痴漢にあってしまった……
助けを求めようと思って、隣に立っている焦凍の手をギュッと握る……
どうすれば気付くんだと思って一生懸命考える……アイコンタクト?いや、付き合ってるって言っても、1日しか経ってない。どうすればいい?焦凍助けてッ……
私は焦凍の手を軽くグイッと引く。焦凍に口パクで助けて。と言う。これで気付いてくれたのだろうか……焦凍は目を見開いている。
焦凍の顔を見ていたら、血管が浮き出てきた。
相当怒ってるみたい。ありがと。そこまで思っててくれて……
焦凍は男の胸ぐらをつかんで、怒鳴った。
焦凍は最初はハテナ状態だったけど、みるみると、顔を赤らめている。それがめちゃ可愛い。
今、私は結構、機嫌がいい。結構っていうかめちゃくちゃいい。
だってカレカノになって、1日しか経ってない彼氏。焦凍がさっそく彼氏らしいことしてくれた。言ってくれたから。それがすごく嬉しい。私も早く彼女らしいことしてあげたいんだけど、何すればいいかわかんないや←ん?
次の駅……
そして男は連れていかれた。
そして、私たちは降りた。このあとあんなことが起きるだなんて誰も想像せずに。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。