第3話

出会い②
65
2018/01/26 08:36
森の中は、一歩入っただけで空気が違う。
まとわり付いてくる様な嫌な、空気。
私は、持ってきた懐中電灯を頼りにあの花の元へ急いだ。


少しずつ花へ近づくにつれて、その色が青だと言うことが分かった。そして、本当に光っている。と言うことも。
ようやく花の前に付いて、しゃがみ込む。

…何だろう、この花は。……ユリ、の様な。

恐る恐る、手を伸ばす。震えている指が花弁に触れた。その瞬間、キラキラした花はフッと光を失い、唯の白いユリになった。





「オヤ。可愛いお嬢さんがこんな森に何の用ダイ?」


ゾッと鳥肌が立つのがわかる。
背後から、声がした。
男で年齢不詳の声。
恐怖で身体が動かない。

ーだから言ったでしょ。『バケモノ』に食べられるって。


誰かの声を無視して、なんとかナイフが入っているバックに手をかけた。

「……う…うわぁぁあ!!」

バッと振り返り、ナイフを持って背後の誰かに突進する。


グサッ

や、やった!!
…でも、何だろう。この、がらんどうな…


「……ダメだろう。知らない人にいきなりナイフを刺しチャ。私でなきゃ死んでいタ」


声の主を見上げると、そこにはただ、目も鼻も口もない、真っ黒な球体が、神父の服を着ている。月明かりに照らされた十字架のネックレスが、異様に目についた。

そこで私は気を失った。

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