私は、樹から逃げるように、
さっきは楽屋を出てきてしまったー
忘れる、
わすれる
樹との思い出は全部ー
じゃないと、諦められないー
嫌いなるつもりで…
マネージャーも辞めようかなって
一瞬思ったー
でも、私をマネージャーに
戻してくれたみんなの熱量を思い出すと、
そんな無責任なことは出来なくてー
今回だって、私が彼氏がいるって、
言った軽い一言が、きっかけになってるー
仕事は、仕事ー
プライベートはプライベートで、
きちんとやっていかないとねー
そう自分に言い聞かせてー
再び楽屋へ向かい、みんなに声をかけたー
予定通りに稽古が終わり、雑誌の撮影に向かうー
私たちは移動の道中でお昼ご飯を食べて、
雑誌の撮影に行ったー
1人ずつ、撮影中、
北斗くんが私に話しかけてきたー
きっとみんな気づいてるんだろうな…
私と樹のこと!
心配してくれると、逆に辛いんだけどな…
撮影が終わり、みんなが帰ろうとしたときー
みんなは帰って行き、
私は北斗くんの家に行ったー
ピンポーン
久々の北斗くんの家に落ち着く私ー
そんなこと話しながら、
私たちはご飯を食べたー
北斗くんはわかってるのか、
樹の話は全くしないし、
ただ平凡な会話だけ…
お皿を片付けて、私は重い口を開いたー
深いため息とともに、
北斗くんはそう話したー
私は何も言えなかった…
北斗くんが言ってることが正論だってことは、
私もわかってるわけで…
私はそれ以上言わなかったー
北斗くんも私の様子を見て、
それ以上は、このことについて言わなかったー
私はそのまま帰っていったー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。