第5話

出会い
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2019/03/03 10:22
僕と昴が出会ったのは高校1年生の秋。
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僕は公立の共学の高校に入学した。

それで、クラスメイトだった太一と友達になった。
僕達は親友と周りから言われるくらい仲が良かった。
太一
なぁ海斗!!
海斗
ん?
太一
頼みがある!
宿題かな?なんて思っていると
太一
俺の従姉妹に会ってきてくんない!? すばるっていうんだけどさー
海斗
え?
太一
今日会うはずだったんだけど俺行けなくなって… しかもあいつ携帯持ってないんだよ!
太一
5時に駅の時計台の下! 頼んだ!
海斗
え…ちょ…
そういって太一はいなくなった。

取り残された僕に行かないという選択肢は残されていない。
…5時になった。
特徴とか聞いておけばよかった。
何歳なのか、「すばる」っていってたから多分男子だろうけど…。

なんて思っていると、後ろから声をかけられた。
太一?
あ、ごめんなさい、人違いでした…。
海斗
待って!
海斗
えっと…昴…さん?


そこに居たのは
綺麗な長い黒髪、ぱっちりした目、長いまつ毛、透き通るような白い肌。

いわゆる、美少女だった。

あ! もしかして太一の友達の海斗くん!?
海斗
え、はい。
海斗
太一が今日来られないらしくて…
わざわざ言いに来てくれてありがとう! お礼替わりにちょっと散歩しない?
海斗
あ、はい…
ちょっと強引なところは太一と似てるかも、なんて失礼なことを思った。
海斗
あの…昴さんはなんで僕のこと知ってるんですか?
同い年だから昴でいいよ、あと敬語もやめてね!
私が君を知ってるのは太一から聞いてるから。“めちゃめちゃ良い奴!!”ってしょっちゅう言ってるの。
海斗
そうなんだ。 …どこに向かってるの?
質問攻めだな〜あと5分くらいで着くよ!!
それから他愛もない世間話をして、5分経った。
ほら、着いた! ようこそ特等席へ!

そこは、河川敷だった。

話によると、彼女は放課後よくここに立ち寄って夕日を眺めるらしい。
確かに景色を邪魔するものはなく、綺麗に夕日が見える。


草で緑になった土手の所々に赤い何かがある。
この赤いのは彼岸花。綺麗でしょ?
海斗
うん…綺麗。
ほら、夕日が落ちてる。 これも赤い。
海斗
…赤色好きなの?
もちろん。だって、世の中の綺麗なものって赤いでしょ?
そう言って笑う彼女の笑顔から目が離せなかった。
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その日以降、2人で時々会って色々な話をした。
僕達は友達になっていた。

昴と僕は、意外と趣味や好きなものが合っていた。


…これが僕と昴との出会い。

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