( 山 田 涼 介 side )
あの後、先生が教室へと入ってきて、
廊下で迷ってた彼女もどこかへ行ってしまっていた。
いつも通り HR が始まり、
先生の長い話が続く。
その間、俺は彼女の事ばかり考えていた。
転校生ならきっとどこかの教室に
新しいクラスメートとして入るのだろう。
その教室が俺らの教室だったら
どれだけ嬉しいんだろう。
少しの期待を抱きながら先生の話に片耳を添える。
しかし、転校生の話すら上がらないまま、
約9分間の長い先生の話が終了した。
その時、なぜか俺は 悔しさ と 残念 という気持ちで
心が押しつぶされそうな感覚に陥った。
俺の斜め前に居る光くんが心配して話しかけてきた。
こうゆう時、光くんって優しんだよな。
今度は俺の席とは程遠い、窓側に座っている
知念が少し小走りで走ってくる。
隣…!結構、近くて良かった〜!
けど、どこか寂しい気もする、、
でもこんなこと知念にはまだ言えないな、
1度見ただけでこんな感情になるのは初めてのこと、だからちょっぴり恥ずかしさもある。
そう言うと俺の顔を見ながらニヤニヤと笑ってくる。
隠しててもこうやって直ぐにバレちゃうな、
そんなに俺って分かりやすいのか、?
もう一度、ニヤッ としてから自分の席へと
戻っていく知念。
正直、一瞬だけイラッ とは来た。
けど、廊下で一目見ただけで心を撃たれて、
今だ何も行動に移せない自分を思うと
情けなく感じる。
椅子の背もたれに深く腰を掛け、
大きなため息を着いた瞬間、
廊下から男の興奮するような嬉しそうな声が聞こえてくる。
確かではないが、その中には伊野ちゃんも
居た気がする。
俺の後ろに居た大ちゃんが苦笑いを浮かべながら話しかけてきた。
山.有 : 笑笑
2人で笑ったあと、大ちゃんは
『 ちょっと、トイレ行ってくるわ』
そう言って勢いよく教室を飛び出した。
たくっ…どんだけ我慢してるんだか、笑
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授業の予鈴のチャイムが鳴るまであと
3分────
以外に3分は長く座って待っているのすら
退屈になる。
するとさっきより
廊下のザワザワが激しくなった気がした。
そう小声で呟きながら廊下に渋々
目を向けると…
あの噂の転校生が廊下をまたまた迷っている。
そんな彼女を目でずっと追っていたら
パチッ ────
なんてことだ、見事に目があった。
するとそのまま俺の方へと近寄ってくる。
なに、何だ、何だ…!?!?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。