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第3話

# 003
742
2018/11/09 12:10
( 山 田 涼 介 side )

俺はどんどん近寄ってくる彼女から
目が離せなくなっていた。

ドクン 、ドクン 、ドクン __













佐 野 〇 〇
佐 野 〇 〇
あ、あの〜ちょっといい?ですか?

おぉ、本当に声がかかったな、



外れたら恥ずかしいからあまり期待してなかったけど……
佐 野 〇 〇
佐 野 〇 〇
あ、あの?聞いてます?



ほげーっとした俺を
透き通った天然水のように優しい声で
俺に問いかけてきた。
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
あ、うん、聞いてる!

慌てて答えると、
わたあめのように柔らかい笑顔を浮かべた。
佐 野 〇 〇
佐 野 〇 〇
ここって、B組、だよね?
このクラスに女の子の転校生来てない?

柔らかい笑顔とは裏腹に
今度は真剣な眼差しで俺の顔を見つめてくる。
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
て、転校生…?

先生からそんな話は今日のHRでも
一切出てこなかった。
佐 野 〇 〇
佐 野 〇 〇
うん、貴方のクラスに転校生が私の他に
もう1人だけ来るって言ってたんだけどな…

何かの空耳では?とも思ったけど、
彼女の真剣そのものの顔からはそんな風には捉えられない。
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
そっか…
佐 野 〇 〇
佐 野 〇 〇
……まぁ来てないならいっか!
ありがとうございます!

そう言うと彼女は軽く会釈をして
最後に柔らかい笑顔を振舞ってから、
自分のクラスへと帰って行った。



そんな彼女を俺は最後まで
糸で結ばれているように
見続けていた。












もちろん、彼女が見えなくなってからも



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈







今日の俺は君に 二度 恋をした。





容姿、透き通った声、自然体のいい香り、

シュッとしている鼻、プルんと小さい唇、

笑った時に出来る目尻のシワ。


君の全てに。




初対面で名前も分からない人に




こんなに没頭するなんて俺…風邪でもあんのかな?



......................................................
有 岡 大 貴
有 岡 大 貴
…、おぃ…!山田!
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
ん、?
有 岡 大 貴
有 岡 大 貴
ん?じゃねぇーよ!
授業、始まってんぞ、!
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
え、うそっ!


廊下側にずっと目線を落としていたから
全然気が付かなかったけど、

前を向くと先生が俺の方をずっと見ていた。
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
ス、すみません…

先生 『たくッ…授業に集中しろ』
 山 田 涼 介
山 田 涼 介
うすっ…

先生は少し呆れたようにため息をつくと、
授業の説明を再開し始めた。



今は数学かぁ…。



気だるそうに机の中を漁ろうと
体を横に(窓側の方を向くように)して
座り直すと視界に丁度、知念 が飛び込んできた。


黒板を見てるのかなとも思ったけど違った。












明らかに顔と目が俺の方を見ている。









さっきまでの先生みたいだ。






俺も見つめ返すと、知念の口元が緩んだ。


そして何か口パクで俺に訴えかけてくる。





























































知 念 侑 李
知 念 侑 李
(あ・の・子・か・わ・い・い・ね ……)

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