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第8話

馬鹿にしないで!
1,456
2018/08/22 13:30

あなたのマンションに着いても、
一言も二宮は話さない。
仕事着のままだったので着替えたかったが、二宮が無言でラグに正座しているからそうもいかない。
ローテーブルを挟んで反対側に、あなたも正座する。
あなた
………
二宮和也
……

無言が気まずい。
お互い言わなければならないことがあるのは分かっているが、話し始めが掴めない。


二宮はどういうつもりなのだろうか。
先ほどのセリフと手を繋いできたことからすると、まだ彼女だと思われていると捉えていいのか。

分からない。
そうだと良いな、とは思う。


顔が見たい。
伏せていた顔をチラリと上げれば、同じ様にこちらを伺う二宮と目が合った
あなた
ふふ……
二宮和也
ふはっ
二人して吹き出す。
全く自分たちは何をしているのだろう。
いい歳して、喧嘩だなんて。
妙な緊張が解けた
あなた
もう,撮影終わったの?
二宮和也
今日クランクアップした
あなた
お疲れ様。
少し痩せたね
二宮和也
結構大変だったからな
あの二宮が「大変だった」と言うなんて、余程の現場だったのだろう。 
冗談めかしては言っても、本気で大変だったなんて滅多に言わない人だから。

その過酷な現場で疲弊した二宮。
きっと心が弱っていたのだろう。
その時に、支えられなかった
あなた
ごめんね
支えてあげられなくて。


自然と言葉が出てきた。
同時に涙も出てくる。

二宮はテーブルを回り込み、ふわりとあなたを抱き締めてくれた。
彼の香りに包まれる。
いつぶりだろう。
酷く懐かしく感じる。
いままでも1ヶ月会えないことはあったはずなのに、今回は凄く長かった気がする
二宮和也
ごめんは俺の方でしょ?
きゅっと抱き締める腕に力が篭る
二宮和也
ちょっと、疲れてた。撮影結構大変でさ。
全然あなたに会えなくて悪いなって思ってたところに、スタッフが
『会えなさ過ぎて彼女にフラれた』
って話してて。
俺もフラれても仕方ないかも、なんて考えちゃったんだよね
それで,あの発言
二宮和也
情けないけど、予防線、張っただけなんだ。フラれるかもって自分に言い聞かせてないと、突然『もう無理』って言われた時ショック大き過ぎだから。ほんと、ごめん
その声が普段の飄々とした彼の声からは想像できないくらい必死で、それだけ彼が真剣なのが伝わってくる。

それに応えるように、あなたも彼を抱きしめ返す。
あなた
………会えなくて寂しくないわけじゃないけど、そんなことで別れたくなるくらいの生半可な覚悟じゃないの。
!馬鹿にしないで!
そう言えば、何がおかしかったのか笑いだす二宮。
人が真剣に言ってるのに。
むすっとすると、慌てて謝ってくる
あなた
真剣なのに笑うなんて
酷い(-_- )
二宮和也
カッコイイなって思ったのよ
あなたには敵いません。


笑顔で落とされるキス。
ちゅ、ちゅと何度も。

その笑顔もキスも変わらない。
変わらない、だいすきな二宮の笑顔。
二宮和也
俺、あなたがいないと駄目だから。あんなこと言ったけど、やっぱり離れて行ってほしくない。ずっと側にいて
あの二宮からの、素直な言葉。
耳が真っ赤。
首まで真っ赤。
本気で照れている証拠だ

返事を返すように,かれへの抱きしめる力をさっきよりも入れた。
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あれだけ強い二宮が弱る時もある。
支えたいと思っていたあなたでも、感情的になってしまうこともある。

それでも、きっと、大丈夫。
彼となら、乗り越えられるだろう。


この先、何があろうとも。
きっと2人で乗り越えられる
END
作者
最後まで見てくれてありがとうございます
作者
次はどんなお話書こうかな…

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