第8話

6話
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2021/06/12 14:45
翰那
あなた,随分とあの転校生クンに好かれてるよね
放課後,琉碧と翰那と共に私は図書室にいた。


帰る前に必ず,図書室の整理をするのが私たちのルーティンだ。





作業中,他愛もない話をするのだが
今日は翰那が突然おかしなことを言い出した。
あなた

やだ,そんなことないって!!

翰那
え~そんなことなくないでしょ笑
翰那
ね,琉碧??
琉碧
ほんとに。なんかずーっと「あなたさんッ」て言ってるし
あなた

それはただ…私が隣の席だからたまたまだよッ

翰那
そっかそっか,たまたまか~
琉碧
そりゃあよかったなぁ?
あなた

もう,何なの2人してッ!

琉碧
いや別に~?
あなた

ほんとに好かれてなんかないの。

あなた

ゆきむらくん,きっと心細いだけだって

あなた

…それにそんなこと勝手に言われても困るでしょ

ゆきむらくんはかっこいいし優しい。


だから,きっと皆に好かれると思うのだ,

変な噂はたってほしくない。
ゆきむら。
僕がなにか?
琉碧
うぉっ!!転校生,
翰那
転校生くんじゃん!!
ゆきむら。
ゆきむらです。
同じクラスだよね,よろしく。
琉碧
…よろしく。
翰那
よろしく~!!
めっちゃいい人じゃん!
…タイミング的に,絶対いまの話聞かれてると思うんだけど。
内心焦る私を他所に,翰那は早くも 
連絡先を交換したりして随分仲良くなっている。
ゆきむら。
そうだ。
ゆきむら。
あなたさん,もしよかったら一緒に帰れないかな??
あなた

あ…道とかまだわかんない,よね。

あなた

いいよ。帰ろッ

ゆきむら。
よかった,ありがとうッ
なんだか少し気まずいけれど,こうして私は

ゆきむらくんと一緒に帰ることになった。


この時彼は少し,物憂げな顔をしていた気がしたけれど



私の話を聞いていたせいだったんだろう,なんて





私は大きく見当違いなことを考えていた。

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