場地side
別に全部聞くつもりなんてなかった
しばらくしたらあなたが玄関行って
なに話してんだ?って
話聞いてた
話聞いてたら千冬があなたの家来たみてぇで
1番覚えてるのが
“千冬”
“私と別れてください”
って
その後、千冬がなんか言って帰って行った
灰谷兄弟があなたのことを心配して何度か別の部屋ウロウロしてたのを見かけた
…余程あなたのことが好きなんだな
んで深夜
誰かの泣く声で目が覚めた
この泣き声
何回も聞いたことのあるあの泣き声
俺は気が付けば声の聞こえる方向に足を動かしていた
…ガチャ
俺がドアを開けた途端、泣き声が収まった
暗すぎてなんも見えねぇ
声のする方に歩いていく
だんだん近付けばソイツが誰か分かってきた
…いや、元からわかってた
あなた
焼きそば食いながら泣いてる
いつもの事なのに、何故か今日は謝ってくる
あなたを抱き締め背中をポンポンと叩いてやる
“千冬”
あなたの口から出てくる言葉に察しがついた
それと同時に、何故かあなたのことを諦めかけていた
…あなた
お前、早くちふゆとより戻せよ
…どうせ、忘れられないんだからよぉ
NEXT.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。