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2021/06/07

第6話

ON YOU
U
U
ヒョン。この書類、入力終わりました。
WYATT
WYATT
あぁ、ありがとう。Uは本当に仕事が早い。
助かるよ。
Uの頭を、ポンポンと撫でる。

猫のように切長な目が細まって、少し照れたように頬を薄ピンクに紅潮させる。

本当に可愛らしい。

U
U
何度も言いますが、僕、もう子供じゃ無いですからね。
WYATT
WYATT
はいはい。わかってるㅋㅋ
そうやってわざわざアピールするところが、まだまだ可愛らしい。

U
U
あ、あの子…。
ここは、特殊部隊の部室。

そこから、外の花壇が見える。
WYATT
WYATT
いつも来るね。


花壇の中央に咲き乱れる、沢山の花。
そして、仲間外れにされてしまったかの様に、何故か離れた場所で咲いている、

一輪の白い花。


肥料は、花壇の中央にしか与えられなかったようで、他の花が大きく育ってから、遅れてこの子が咲き始めた。

他の花と比べて、栄養が足りなかったのだろうか。
背がとても低く、茎も葉も花も小さい。
元気に、けれど控えめに、今日も咲いている。

U
U
あの花が、気になるんですね。

窓の外の男の子は、毎日この花壇に足繁く通い、その花に水を与え、歌を聞かせ、そして帰っていく。


このことで、Uと深く語ったことはない。
しかし、きっと俺たちは、同じことを感じている。

何故か、その子を見ていると、悲しい気持ちになるのだ。


真っ白な一輪の花が、どうしてそれほどに大切なのか。
どうしてなのか、聞いてみたい。

WYATT
WYATT
よほど大切なんだろうな…。
U
U
そうですね。あの白い花…。
今日も水を与えると、歌を歌い、帰っていく。






U
U
…おはようございます。報告書です。
ヒョジン
ヒョジン
お、持って来てくれたのか?ありがとう。
…驚いた。
J-US
J-US
君、99年生まれでしょ?ワイアットから聞いたよ!ラウンと同い年じゃん!

ラウンくん。

まさか、警備チーム所属だったとは…。
U
U
…そうですね。
ラウン君は、僕とワイアットヒョンに、窓から毎日見つめられていることを、知っているのだろうか。
ラウン
ラウン
…。
ほわっとした目で、見つめられる。

ラウン
ラウン
U君って言うんだね。よろしくね。
ラウン君がそう言って、微笑む。

とても可愛らしい。

場の空気を包み込む魅力のある子だと思った。

それと同時に、何故だろう。


どうして、この笑顔が、悲しそうに見えるんだろう。


U
U
よろしく。
E-TION
E-TION
…表情が固いなぁ。
MK
MK
口数も少ないなぁー…
ヒョン達からツッコミが入り、ラウンがクスクスと小さく笑う。


U
U
すみません。初対面なので…。
U
U
では、僕はやることがありますので、戻ります。
ヒョジン
ヒョジン
おう、おつかれ。ありがとうな。
ほらほら、お前らもUを見習え。
はーい。と言って、ヒョン達は席に着く。

立ったままのラウン君が、手を振って見送ってくれる。

ラウン
ラウン
また来てね。


やっぱり、笑顔が切ない。

U
U
うん。また来るよ。
そう答えると、より一層の笑顔を見せてくれた。



U
U
…まただ。
今日も、花壇に来てる。

あの花、よほど大切なんだ。



外に出て、ラウン君の近くによる。

ラウン
ラウン
…あ、ユー君だ。おつかれ様。
U
U
おつかれ様。毎日、ここに来てるよね?
少し驚いた表情を見せる。

でもすぐに笑って、言った。
ラウン
ラウン
え、知ってたの?
ラウン
ラウン
なんだか恥ずかしいな…。じゃあ、ユー君にとって、僕は初対面じゃないんだね。

相手は見られていることに気付いていないのに勝手に見ていたなんて、気持ち悪すぎる。

U
U
あ、ごめん…。気になってつい…。
咄嗟にごめんと言う。
和の国出身の血が、どうしてもそうさせるのだ。

ラウン
ラウン
ふふ、何で謝るの?
ラウン
ラウン
実は、知ってたよ。もう一人、ムキムキのお兄さんと一緒だったでしょ?

知っていたのか?

U
U
え、知ってたの?

質問すると、呟くように答えてくれる。

ラウン
ラウン
知ってたよ。2人の声が聞こえたからね。


おかしい。


ここから、部室の声が聞こえるだろうか。

ラウンのように歌を歌ってるならまだしも、僕もワイアットヒョンも、大きな声量でラウンのことを、喋った覚えはない。


何か、おかしい。

U
U
…聞こえてたの?

今度は、それに答えずに

ラウン
ラウン
…この子、咲いた場所が悪かったよね。植えた人が、種、ここに落としちゃったのに、気付かなかったのかな?

小さく笑って言う。

ラウン
ラウン
仲間外れみたいで、可哀想なの。周りは色があるのに、この子は白いし。小さいし。
ラウン
ラウン
僕が育ててあげたいんだ。


この子は、花を、自分と重ねている。

そう、直感する。

だから、強く言う。


U
U
僕も、面倒見るよ。
ラウン
ラウン
…ほんと?
一瞬戸惑った様に止まるが、すぐにこちらに視線を向けてくる。


まるで、ガラスで作った様な、透き通る様な色の瞳で、見つめてくる。

だから、もう一度強く言う。

U
U
ラウンと俺で、育てよう。

一瞬、時が止まった様な感覚がした。

ラウンは、切なげに眉を下げて、笑う。

ラウン
ラウン
…うん。僕とユーで、育てよう。

彼にとって、僕がこの花に触れることは、良いことなのだろうか?

わからないけど、なんとなく、

放ってはおけなかった。


ラウン
ラウン
でさ、ユー、今自分のこと、俺って言ったよね?
U
U
あ、ごめん…つい…。でも、ラウンも俺のこと、呼び捨てで…。
ラウン
ラウン
あ、うっかりした。
クスクスと笑う。

おかしくて、自分も笑う。

U
U
じゃあ、今日から、遠慮無しで、お互い喋ろ?
ラウン
ラウン
うん!やった…!同い年の友達だ!
控えめに手を叩きながら、ラウンが喜びをあらわにする。
本当に可愛い子だ。

ラウン
ラウン
ユーさぁ、
U
U
…何?

今まで見たことない、とびっきりの、笑顔だった。

ラウン
ラウン
ありがとう。