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2021/06/17

第8話

The Dreamer
俺は学生の頃、親の仕事の都合でこの国を離れて、海の向こうの美国へと渡った。

この国では、実力が全てだ。

まだ美国の言葉が喋れず理解もできなかった俺に、周りは散々な評価を下した。

自分でも、頑張らなければならないと自覚していたため、毎日勉強の日々だった。


美国に渡って数ヶ月後、自分は客観視して物事を考えることに長けていると気付いた。そこからは、相手が話す前に相手の気持ちを考えることによって、無理に翻訳しなくとも言葉が理解できるようになっていった。

そこからは早い。


周りとの会話はスムーズになり、学校のテストでは、問題の意図を先読みすることで、引っかかりやすい問題も正確に答え、ほとんどの教科で満点がとれた。

そして、あの日が訪れる。




WYATT
WYATT
行ってきます!
母に声をかけて、通学路を走る。

昨晩、友人とビデオ通話で勉強をしていて、朝早くに起きれなかった。いつも予定時刻の1時間前に家を出ることを目標にしているのだが…。

WYATT
WYATT
急げ急げ!
今日も仲の良い友人が、図書室で勉強をしているはず。自分も早く混ざらないと。

そう思いながら、信号を渡る。



その瞬間。





キキーーッ!!!
WYATT
WYATT
!!
車が停車せず、そのまま突っ切ってきた。


轢かれる…!!
警察官
危ない!!





その声を合図に、俺は誰かに抱えられ、弾き飛ばされる勢いで、信号の向こう側にすっ飛ぶ。


警察官
大丈夫か??

「ドンウ」というICカードの入ったホルダーを首から下げた男性が、自分を救ってくれたのだ。

WYATT
WYATT
ありがとうございます…。
かっこいい人だ。

しかも、美国の人じゃないらしい。

この名前…。
WYATT
WYATT
もしかして、大韓国ご出身の方ですか?
警察官
え!君も?
うわ〜、久々に大韓国語を聞いたなぁ。
ドンウさんという男性の、とびきりの笑顔に見つめられる。

本当、眩しいくらいの笑顔。


WYATT
WYATT
あの、
警察官
おーい!
今度の男性は、警察官の制服を着ている。
まさか、ドンウさんも…?
WYATT
WYATT
警察の方だったんですか?
警察官
そう。で、出勤前に君とこうして出会った。
ドンウさんが、星型のバッジを、俺の手の平に乗せて渡してきた。


警察官
それ、俺が1年目に優秀特殊部隊隊員に選ばれて貰ったバッジだ。君、将来俺と同じ仕事に就く気がするから、持っていて。
警察官
俺、この国である事件の調査をしているんだけど、それが調べ終わったら、また大韓国に帰るんだ。その時に、また会えたら返してほしい。
ドンウさんの目が、一瞬、宇宙のように、無数の光を輝かせた。


警察官
約束だ。


警察官の制服姿に、ジョンファン、チャンシクというネームプレートを胸元に着けている2人の警察官が、ドンウさんを呼んでいる。

警察官
今行くよ!
…じゃあね。気を付けていってらっしゃい。

この日から俺は、特殊部隊になることを夢見て、猛勉強をし、自分の肉体を鍛え上げた。


そして、大韓国に帰国し、このONF都市で、警察官試験、特殊部隊訓練に合格し、長年の夢であった特殊部隊になった。









月日が流れた。

俺とUが出会ったのは、ある夏の日だった。


テロ組織と空軍との戦闘。たまたまロボットの飛行テスト中のUが通りかかり、瞬時の判断で応戦、苦戦している空軍を救った。

彼はその功績を讃えられ警察官となり、特殊部隊へと配属された。


特殊部隊には変わった人間ばかりだが、Uはとても大人しく、常識人で、真面目で、優しい子だった。
特殊部隊には変わった趣味の人、うわべだけのような付き合いの人が多かったため、Uのような子が来てくれたことが嬉しくて、自分は自然に彼と打ち解けた。



WYATT
WYATT
なぁ。U。
U
U
どうしました?
もう夏も終わりの季節なのに、まだまだ暑い。

俺のバイクを修理してくれているUが、額から流れる汗を拭い、こちらを向く。

WYATT
WYATT
Uは、何で和の国を出たんだ?優秀なお前なら、向こうで操縦士になるのも容易じゃないか?
Uは、飛行船の操縦士になるのが夢だったと言っていた。



ふと、聞いてみた。


U
U
和の国では、大型の機械が個人所持できないことは、ご存知ですか?
WYATT
WYATT
あぁ、知ってるよ。

和の国は小さな国なので、公道が広くない。

そのため、個人で大型の機械やロボットが所持禁止になっている。


WYATT
WYATT
確かに、Uの持ってるのは大型だもんな。
それのために、こっちに来たのか?
U
U
…そうですね。父が作ってくれたロボットを、操縦したかったんです。でも、貰った年から、大型所持が禁止にされちゃって。
はは、とUが笑う。

U
U
機械は、とても賢いですよ。所有者が出した指令に、0.1秒で答えてくれます。それに、性能の良いものは、表情も豊かで、まるで感情を持ってるみたいです。
U
U
ペットを可愛がる気持ち、わかるんです。僕にとって父から貰ったロボットは、アンドロイドではないですが、いつも笑っているように見えます。ペット?相棒?そんな感じです。可愛いです。
U
U
あの子に乗って、広い場所を歩きたいんです。空を飛びたいんです。
Uは、胸ポケットに入れているロボットのキーを手にとって、愛おしそうに見つめた。



Uとの出会いから2年が経った、奇しくもあの日と同じような暑い夏の日、俺たちはラウンと知り合った。


そして、突然の別れ…。



J-US
J-US
おいおい〜、何でここに?お前ら何したんだ?
スンジュンに聞かれる。

Uは、無視して席に座る。

J-US
J-US
え、無視??
ヒョジン
ヒョジン
(おい!お前KYか?)
J-US
J-US
いっった!!
ヒョジニヒョンがスンジュンをつねる。


ヒョジン
ヒョジン
(Uはラウンと仲良しだったろ!ラウンはいなくなっちゃうし、Uの席はラウンが使ってた席だし…)
J-US
J-US
(やべ…ごめん)
こそこそ話している。

絶対聴こえているはずだが、Uはガン無視だ。

そうそう。俺が最初に話しかけた時も、あんな感じだった。

ラウンのことも相まって、本気で心を閉ざしている。

E-TION
E-TION
ったく、本部のやつらってすぐにキツ"い"当たるんだな。Uはかわいそうに。
U
U
ヒョン。その大韓国語は、正しいですか?

その場が凍りつく。

E-TION
E-TION
…え?
U
U
ヒョンは、少し訛りがありますか?聞いたことない大韓国語でしたので、使える言葉であれば勉強になるなと思ったんですけど。
E-TION
E-TION
…。
WYATT
WYATT
…。
E-TION
E-TION
ごめん、噛んだ。正しくないです。
J-US
J-US
…。
MK
MK
…。
U
U
そうですか。僕も外国人なので、間違えてたら教えてください。

んで、すぐに手元の資料に目線を落とす。

U
U
みなさん。仕事はなさらないんですか?
J-US
J-US
…ハイ
ヒョジン
ヒョジン
…ハイ
E-TION
E-TION
…ハイ
MK
MK
ウィ-ッス
WYATT
WYATT
U、お前…笑えよ。
この空気をどうにかしたくて、注文する。
U
U
あ、仕事中なので。
WYATT
WYATT
あ、そうなの…。











スンジュンから一言。

J-US
J-US
なぁ!どうしたらUが心開いてくれる????
WYATT
WYATT
知らないよ!
E-TION
E-TION
俺、超怖かったんだけど!面接!?
WYATT
WYATT
ごめん。あの子、最初はいつもああなんだ…。

みんなを説得する。

WYATT
WYATT
若干、思春期もあるみたいで…最近初対面の人に距離とりがちなんだ。でも本当に良い子だから。
MK
MK
でも確かに、可愛い感じの子だったね〜!
子供かと思った〜。
U
U
子供じゃないです。


いつの間にいたんだ…!
音を立ててくれといつも言っているのに!
U
U
MKヒョン。僕成人してますし大人なんで、子供扱いしないでください。
鋭い目つき。

MK
MK
ゴメン…;;
MKが怯んでる…。
ヒョジン
ヒョジン
うぃーす。お、Uもいる。おつかれ。
U
U
おつかれ様です。
Uがヒョジンにニコッと笑顔を向ける。

ヒョジン
ヒョジン
馬鹿でうるさい奴しかいないけど、引き続き警備チームをよろしくな。Uが一番仕事できるから、頼りにしてるよ。
U
U
いえいえ、ありがとうございます。


俺より早く、Uと打ち解けている…。

E-TION
E-TION
すげぇ…。
J-US
J-US
クヤシイ!!
MK
MK
俺にも優しくしてよぉ〜;;
WYATT
WYATT
…。

これは、Uが打ち解けるまで、相当かかりそうだな…。






退勤時間が迫ってる。

みんなで書類の整理や作成に集中している。

やっと終わりそうだ。


U
U
僕、終わりました。お手洗い行ってきますね。
MK
MK
やった〜!俺も行こうかな!!
U
U
…別々に行けばいいじゃないですか。
MK
MK
…俺と一緒やなの??
きゅるきゅるとした目でMKがUを見つめる。

それを見てるこっちが、超ムカついてくる。

U
U
はぁ。良いですよ。仕方ないです。
MK
MK
そうじゃなきゃな!へへ。
なんだかんだ言って、この中じゃ一番MKがUと歳が近い。

しかもMKは、土足で踏み荒らすように他人の心に入っていく。そして、その足跡を自分で拭きながら心の奥に入っていく。最後に心の扉を静かにノックする。

最初のインパクトは馬鹿でかいし、Uに警戒されまくっているが、きっと仲良くなるまで長くかからないだろう。

J-US
J-US
俺もトイレ行けば良かったかな。
E-TION
E-TION
ストーカーじゃん。
違う!とスンジュンが言い放ち、E-TIONと2人で今後どうするべきかを話し始める。

まぁ、どれも無駄であろう…。





2人が帰ってこない。

やっとこさ最後の資料が終わって、俺ら4人は帰る準備が整った。

J-US
J-US
おせぇな。何やってんだ。
J-US
J-US
まさか…!ナニかやってる…!?
ヒョジン
ヒョジン
訳あるか!!
E-TION
E-TION
おいおい、冗談だろ。流石にMKでもそんな…勘弁してくれ…。
いやあるわけ無いでしょ。


WYATT
WYATT
2人の荷物持って行こう。そのままトイレ通って帰ろう。
学生かよって思うけど、ジャンケンで誰が荷物を持つか決める。

俺とヒョジニヒョンが負ける。

ヒョジン
ヒョジン
あぁ〜!!!何で俺がMKの荷物を!!
ノーパソ重すぎんだろ〜!!!
WYATT
WYATT
相変わらずあの子は…。様々な部品と、目薬やリップが入ったポーチと…。重い…。
E-TION
E-TION
約束なんだから文句言うなー。
文句があるなら2人に言えー。
WYATT
WYATT
じゃあ文句無いや。
ヒョジン
ヒョジン
じゃあ文句しかねぇや。
これはMKは怒られるな。

そう確信する。




トイレまで来た。


そこで、中から異様な気配を感じる。
E-TION
E-TION
なぁ…。
WYATT
WYATT
…うん。何かおかしい。
恐る恐る、ドアを開ける。


中に入ると、一番奥の個室のドアが一個、閉められている。

俺は、ドアをノックした。
WYATT
WYATT
…MK?U?
返事が、無い。


WYATT
WYATT
…覗くぞ?いいか?


やはり、返事が無い。

ドアの上に手をかけ、自分の体を持ち上げて、上から覗く。


床に座って、フタの閉められたトイレの上に両腕を置いて、寝ているように頭を突っ伏している、MKがいた。

WYATT
WYATT
おい!入るぞ!
上からトイレに入る。

WYATT
WYATT
おい!Uはどうした!?

返事が無いため、MKの肩を揺すると、そのまま俺の方に倒れる。

腹から流れる血で、ズボンが真っ赤に染まり、座っている場所に血溜まりが出来ている。



WYATT
WYATT
MK!おい!大丈夫か!?
MKが、薄く目を開く。


MK
MK
ぅん、U、Uが、、
MK
MK
らうん、、らうんだった、、、
WYATT
WYATT
は?ラウン??

これは、ヤバいかもしれない。



MK
MK
ラウン、、ラウンが、、、くっふ、、、ぅ、、
WYATT
WYATT
わかった!喋るな!!今治療室行くから!
トイレの鍵に手を置いた瞬間、ドアの向こうから、ただならぬ気配。

そして、ドアに激突するような大きな音。

E-TION
E-TION
くっ!!
ヒョジン
ヒョジン
E-TION!
J-US
J-US
てめぇ!!
ドアを開けると、壁際でしゃがむチャンユニヒョンと、それを介抱するようなヒョジニヒョン、そして、"そいつ"に殴りかかるスンジュン。


"そいつ"は、もう一人の俺だった。
WYATT…?
この後、21時に、WM地区の大型倉庫に来い。良いものを見せてやる。

それだけ言うと、もう一人の俺は、ドアから廊下に逃げる。
J-US
J-US
待て!くそっ!消えた!!
E-TION
E-TION
おい…どうなってんだ…?違法アンドロイドだろ…?
ヒョジン
ヒョジン
わからない…けど、このままだとWYATTにも被害があるかもしれない。早く捕まえたいが…今夜21時にWM地区の大型倉庫…。
J-US
J-US
行くしかねーな…。
WYATT
WYATT
MKを運ぼう!手伝ってくれ!
ヒョジン
ヒョジン
もちろん!
E-TION
E-TION
がんばれ!すぐ治るから!




ベッドに寝かせて応急処置をしてもらったが、止血が止まらないため、救急班を待っている。

静まり返っていると、MKが、話し出す。

MK
MK
Uは…連れ去られた。
MK
MK
ラウンに…。




誰も返事をせず無言だったが、全員が腕時計を確認した。

21時まで、あと1時間。