第54話

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2022/06/06 17:38
ウォール・マリア奪還作戦,当日。



『…イ…リヴァイ!』

「あ…?」

『朝よ。』

「…そうか」

『先に上官は王都に集まるらしいわ。一緒に行きましょ』

「おう」



着替えを済ませると,その時間までには少し時間があった。

あなたが紅茶を淹れてくれた。



「ありがとう。」

『どういたしまして』

「……怖いか?」

『え?』

「本当はお前は連れて行っちゃいけねぇ。巨人の王を失えば不利も重なるし,巨人が、どんな動きをするかも分からない。お前の考え一つで巨人共は例え奇行種でも思いのままだ」

『……そうね。』

「それに…」

『…何?』

「…お前を失って一番怖いのは,俺だ。」

『守ってくれるんでしょ?』

「!…」

『私は貴方が生きているなら,死なない。』

「……そうか。」

『うん。』

「帰って来たら,彼岸花を買いに行って良いか?」

『……枯れちゃったの?』

「いや,まだ残ってる。ただ…」

『…?』

「"白い",彼岸花だ」

『白…?』

「彼岸花を買った店の店主から手紙が来てな。俺が彼岸花を気に入っていたのを覚えていたのか,"白い彼岸花が手に入ったから,見にこないか"と書いてあった」

『…私も行く。』

「あぁ,」




「二人で,行こう。」













「では,ザックレー総統,皆さん,我々調査兵団はウォール・マリア奪還作戦に向かいます」

「気を付けて,帰ってきてくれ」

「はい。」



「調査兵団副兵士長,あなた。」

『!…』

「いえ,アットループ様」

『…』

「改めて,我々に救いの手を差し伸べて頂いた事に感謝致します。」

『…いいえ。私からもお礼を言います。私達巨人は人々に危害を加える者であり,そして怯えられる者です…。なのに,貴方達は私の言葉を信じてくださりました。ありがとうございます』

「…ご無事でありますよう,お祈り致します」

『えぇ。』









「流石,王様だね」

『何が?』

「もう王様の顔してるよ,君」

『……王様って言ったら……私,出発する前に会いたい人がいるのよね』






「それなら心配いらねぇ」




『リヴァイ…』

「もう来てる。」




そう言ったリヴァイの背後には,




『ヒストリア…』




ヒストリアがいた。




「あなたさん…」

『会いたかった,ヒストリア。』

「本当に…行かれるんですね,是非ご無事で」

『えぇ。』

「あの…必ず帰ってきてくれますよね…?」

『えぇ,もちろんよ,必ず帰ってくるわ』

「はい!」

『ふふっ』

「あなたさん,一つお願いがあるのですが…」

『何?』

「奪還作戦から戻って来たら,あなたさんには巨人の王として正式な式をとりたいんです」

『…』

「本当は話が出ていたんですが…私がお願いしました。"奪還作戦が終わってからにして欲しい"って。」

『…ありがとう』

「ただ,奪還作戦に行かせる代わりに王冠を被ると言う条件ですが…」

『分かったわ。』

「良いんですか?王冠を被ることになるんですよ…?」



「あなた,行くよ」



「ハンジさん…」

『だから,ザックレー総統に伝えて。"王冠は被る,けど調査兵団を抜けるつもりは無い"ってね』

「!」

『それじゃあね!』

「あなたさん!」

『ん?』

「……あなたさん,前から思ってたんですが,ユミルに似てるんです」

『…』

「でも,違います。あなたさん,大好きです!」

『…私もよ!』













「あなた。」

『エルヴィン』

「ちょっと良いか?」

『何?』



『どうしたの,もうすぐ出発よ』

「君にこれを渡しておこうと思ったんだ」

『何これ…手紙…?』

「あぁ。そう長くは無い。読んでおいてくれ」

『分かったわ。』



エルヴィンが私に渡した手紙…

厚さ的にたった一枚。




『…後,30分…』




読もうかしら。










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