「エレンとクリスタはどこだ?」
「勇ましいな…お前らを案内したのはまだ右も左も分からん新兵だ、そんなのを殴り飛ばして英雄気取りか?」
「それは気の毒な事をしたな」
「ヴッ!」
「特にあんたの口は気の毒でしょうがない。まだまともに喋れるうちに口を使った方がいいぞ。エレンとクリスタはどこだ?」
「無駄なんだよ!お前らが出来る事は…この壁の中を泥クソに紛れて逃げ回る事だ!お前の出頭者である、エルヴィン・スミスからだ!…」
「…ッ」
「ヴァァァッッ!」
「うるせぇよ、さっきの質問に答えなかった分だ。調査兵団の命には優先順位ってのがある、その集まりが俺達だ。エレンとクリスタの居場所を言え」
「し、知らない!本当に教えられてないんだ!ケニー・アッカーマンは本当に用心深い!」
「アッカーマン?それがケニーの姓か?」
『…アッカーマン…』
「!」
「…まぁケニーは教えねぇよな。大事な事は特に…だが心当たりぐらいはあるだろ?思い出すまで頑張ろうか、まだ骨は充分残ってるしな」
「あ、あんた!まともじゃない!」
「かもな」
「…」
「まぁ、そんな俺らでもいつかは必ずお前らから称えられるような人間もいるぞ」
「称えられる?」
「ケニーの狙いはエレンとクリスタ、あなたの3人だからな…」
「あなた…お前か」
『…信じられなくてもいい。この力を持つ事で全てを敵に回す事だってある…でも私は皆に必要とされたい』
「巨人の女王様が、人類に夢を見させてくれるってのか?」
『夢なんか見ても何も変わらないでしょう?そのまま死にたいってのなら見せてあげる』
「悪魔になっても…お前は後悔しないのか!?」
『もうなってる。それに、調査兵団全員が悪魔よ』
「…貴様…」
『充分味わえばいいわ。悪魔の怖さを』
「立て」
「あ?」
「ほら、立て」
『いいわよね、リヴァイ』
「1発なら、な」
「おい、まさか…」
「言ったはずだ。喋れるうちに口を使った方がいい、とな」
「おい、頼む!やめてくれ!」
『さぁ、今しかないわよ』
「本当に知らないんだ!!」
『…あらそう。じゃあね』
「やめてくれ!やめろ!!」
「前から誰か来ます!」
「「「!」」」
「!」
『!』
「………!」
『嘘でしょ…』
「おーい!リヴァイ、あなた!」
「分隊長、声が大きいです…!」
「ハンg」
『シッ』
「ウグッ」
「あれ?声が聞こえたんだけどな?」
『ッ!』
「え!」
『動くな』
「分隊長!」
「…憲兵団か?」
『いいや…』
「まさか、あなた!?」
『当たり』
「あなたー!!」
『抱きしめないでよ…』
「会いたかったよォ!」
『へいへい』
「副兵士長、兵長は?」
『あぁ、そうだったわね。リヴァイ、皆!やっぱりハンジ達だったわよ!』
「ハンジさん!」
「お、皆!」
「お前らがここに来たということは、調査兵団は壊滅を逃れたのか?」
「まぁ、まずはこれを見てくれ」
「?」
ハンジは見せてきた紙
私達は覗き込むと、そこには…
「我々調査兵団は冤罪、フリッツ王は偽の王と確定されて、私達も正当防衛という形になった。つまり今我々は自由の身だ」
「「「…」」」
「「「やったー!」」」
『正当防衛ね…』
「まぁ、まだ終わっていないのは確かだ。後はエレンとヒストリアを取り返さねぇと…」
『…顔どう?』
「痛てぇよ…」
『彼に聞いても分からなかった…。やっぱりケニーは手強いわね』
「後は場所が分かればいいんだがな」
「それなら大丈夫」
『え?』
「この本に手がかりがあったよ」
・
・
・
「この本はエルヴィンに借りたんだ。レイス家の情報が載っている。この本によると、レイス家は5年前ある礼拝堂にいた」
「…5年前…」
「あぁ、初めてウォール・マリアが突破されたあの日だ。その日はレイス家全員が礼拝堂に集まっていた。だがその日、レイス家は豪族に惨殺された。」
「「「…」」」
「おかしいと思わないか?この本には5年前の事件の事が書いてあるはずなのに、巨人の事が何一つ書いてない」
『何か…消したい理由があった…?』
「…それから、この本に出てきた"フリーダ"と言う女性…彼女はフリーダ・レイス、ヒストリアの姉だ。彼女も何か関係しているはずだ」
「「「…」」」
「実はロッド・レイスは礼拝堂を1度再建している。5年前に礼拝堂は破壊されたんだ。だが妙なんだ、礼拝堂は石垣で出来ていたんだ。それを破壊となると、それなりの時間と労力がいる」
「何故、壊されたのか…」
『…ミカサ、アルミン』
「はい」
「あ、はい」
『5年前のあの日、エレンは母親が巨人に食われたと聞いたわ。その後、ミカサ…特に君はエレンと一時的に離れた時があった?』
「離れた…ですか?」
「僕はおじいちゃんといたけど…どうなのミカサ?」
「確かに…ありました、エレンと離れた時が」
『その後、エレンに会ったのはいつ?』
「確か、その翌日です。倉庫でエレンが眠っていて…」
『…まさか…』
「どうした?また仮説か?」
『いや、これはエレンにまず話さないと大変な事になるわ。』
「そういえば、ロッド・レイスの近くにいる中央憲兵はどういう奴らなんだい?」
「ケニーは俺とあなたと一時、暮らしていた事がある」
『ケニーは別名切り裂きケニーと呼ばれていて、とても強かった。まぁ私とリヴァイを育てた男だし、予想はついてると思うけど』
「兵長と…あなたさんを…」
「何かその男について知っている事は?」
「さぁな」
『あまりないわ』
「えぇ?一緒に暮らしてきて何も知らないの?」
「あいつは本当に大事な事は話さない」
『ケニーの事は本当に、少ししか…唯一肉親だとしてもクシェルさんの事しか…』
「…」
「クシェル?」
『あ…』
「いい、あなた」
『でも…』
「いい、知りたいなら話せ」
そう答え、俯きながら何かを思い詰めるリヴァイを見ながら背中をさする
ごめんなさい。気が読めなくて
でもハンジ達は知りたがってるし…
『ケニーの妹のクシェルさんは、リヴァイのお母さん』
「じゃあ切り裂きケニーはリヴァイの叔父って事?」
『えぇ…』
「…」
『ケニーはいつも私に、蘇生術と事とクシェルさんの事を話してくれた。楽しそうに、昔話を』
「今、そのクシェルって人は?」
『…』
「…」
「…ごめん、変な事聞いたね」
「ハンジさん、もうすぐです」
「分かった」
「まぁ、とにかく…戦場に俺、いや…俺以上の奴がいると思え。まぁ俺とあなたの力が合体した感じだな」
「ひゃあー死んじゃう!」
『今逝きたい?』
「いえ、遠慮させていただきます…」
「油断すんじゃねぇぞ…お前ら」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!