第21話

20
4,201
2021/07/27 15:54
私も巨人の力を使うのは初めて…

エレンも私を、私ではなく巨人として認識しているから誰かが分からない。

例え巨人の体であっても、私は私。

エレン、私は強いわよ




「ゥゥゥゥァァァァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

『…ッ』






「エレン!」

「ミカサ!今はあなたさんに託そう!」

「でも…」

「エレンは今、自分が何をしようとしているのか分からない。でもその意識が目の前にいる巨人を殺すと言うものに変わっているんだ」

「エレン…」

「大丈夫だ…」







「久々のあなたの格闘術のお披露目だ…!」

「興奮している所悪いが離れた方がいいぞ」

「え?」

「エレンがお前に目を付けた」



「ゥゥゥ…!」

「ちょっとちょっとちょっとちょっと!!!エレンやめてぇぇぇ!?」

『ヴァァ!』









この野郎…邪魔すんなよ

俺は今、全てを潰さねぇといけねぇんだよ!






エレン

ハンジに手を出さないで

貴方の相手をするのは私よ

次も止めるし、リヴァイにまで手を出したら許さないわよ







『ッ…』

「ヴァァァァ!!」




力で私を殺そうとしてるわね、エレン。

私達と初めて会った時、貴方はリヴァイと戦った。

その時に力技でリヴァイを動けなくした。

私にもそうしてみなさい。




するとエレンはそれが伝わったかのように、私を見て襲いかかった。

そうよ

全力で来なさい

全力で相手してあげるわ。

立体機動装置で近付けない程暴れた

なら、エレンを動けなくしてから項から出す

暇すぎて練習してたのよ、硬質化の使い方







「すごぉい!硬質化の壁なんてよく作ったね、あなた!!」

「硬質化で体力を使う事はあるのか?」

「さぁ、それは分からないけど」

「もしそうだとしたら…初めて巨人になった奴としてはキツイんじゃねぇか?」

「あなた…」









なんだこれ、壊せねぇ!

なんなんだよ!あいつをぶっ殺せねぇじゃねぇか!

こんなもん!こんなもん!








『ウゥゥ…』

「!」

『ウゥゥ、ウゥァァア』

「…」

『アアゥ…ウゥゥ、ウァァァ!』

「コク…」






「エレンとあなたは会話をしているのか?」

「唸り声が巨人の会話なのか…?」





エレン、私が分かる?



"誰だ…?"



私よ、あなた



"あなたさん!?まさか…巨人になってるんですか!?"



そう。私は巨人の女王だって言ってたでしょう?

エレンが暴れたって聞いて…

実験も兼ねて止めに来たのよ



"実験…ですか?"



いい、エレン?

私と戦って。

格闘術で、エレンらしいやり方で。

全力で来て



"…この実験にはどんな意味が?"



今までで分かった事もあるわよ

私はまずちゃんと巨人になれる

硬質化がしっかり使える

身体能力はそのまま

何より…



"…?"



これが私の本当の"姿"






「ヴゥゥ」

『コク』

「ヴァァァァァァァァァァ!!!」

『ッ!』






「あなた…」

「リヴァイ、このまま続けるよ」

「…あぁ…」




「無茶ですよ、エルヴィン団長!」



「「!」」


「ハンジ、リヴァイ…状況は?」

「エレンとあなたが戦い始めたよ。さっき会話をしていた。多分…エレンはあなたを認識出来た。でも戦っているということは、あなたが実験に移行したんだ」

「止めれねぇ事は無さそうだが…どうする?」

「…1度止めてくれ」







「ハァ…ハァ…ハァ…」

『フゥ…』






「エレン、一旦止めてくれ!」

「?…」

「エルヴィンからだ」

「…」







『?』




ハンジ…

エレンと何を話しているの





「あなた!」

『!』

「あなた、エルヴィンからだ。よく聞け」







"好きにやるのは構わないが、被害を最小限に"

"エレンがお前を認識出来たのならお前に万が一の危険があったならそれを使え"

"お前の持っている力を全て使ってエレンを倒せ"








「分かったな?」

『コクッ』

「後な、あなた…」

『?』

「ボソッ」

『!』








"死ぬなよ、無理すんじゃねぇぞ"








またそれね

いつもそうね。リヴァイは。

私が何かをする時、"無理するなよ"って

昔はそんな事一言も言わなかったのに…





________________________





「見つけたぞ、リヴァイだ!」

「あ?」

「忘れたか?俺の事。前にお前から手を引いてやった奴だ!」

「今度こそお前に勝ってやる!」

「…懲りねぇやつだな」

「死ねぇっ!」






「!」




『そう簡単には傷付けない』

「あなた…」



「お前か、また来やがったなお前!」

『こっちのセリフ。よく仕返しなんて考えつくね…あんなにボコボコにしてやったのに、またされたいの?』

「今回はそうは行かねぇぜ、仲間をいっぱい集めたんだ!」

「15人はいるぜ!さぁ俺たちに勝てるのか!?」




「『勝てる』」




「何…お前ら、いい加減に…バカにすんのも大概にしろ!!」

「かかれぇー!」









「居ない!?」

『バカにも程がある』

「全くだ」













『殴られる前に殴ればいいだけの話。人数が増えたからって関係ない』

「1人戦っただけでどれぐらいの力なのか分かってる」

「クソっ!何度でも来るぞ!」

「逃げろ!」






「大丈夫か?」

『うん』

「じゃあ行くぞ」

『…ねぇリヴァイ』

「何?」

『……ううん、なんにもない』

「そ。」

『…何か嫌な事でも、あった?』

「!」

『…。』

「…まァな」

『そっか。』








________________________





いっつも自分の事ばっかで、私は傍にいれるのが嬉しかった。

でも傍にいるのに何か距離を感じていた

でも今分かった。

私は強くなりすぎて、リヴァイを守る事だけを考えて生きてきたせいで

貴方に"愛想"というものがなかった。

確かその後だったものね、私に気持ちを伝えたのは。

私が、巨人の力っていう私のまだ使いこなせないものが出てきて

前に感じていた距離とは違う距離がある。

それを少しでも縮めようとリヴァイは努力してくれている。

だから私も努力する

私は出た後、この事を覚えていないでしょうね

けどまた、リヴァイの事が分かった

それだけは忘れない、絶対に

だから

エレンに勝つ













プリ小説オーディオドラマ