第29話

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2020/11/25 07:38
『あ…リヴァイ…私…』

「起きたのか…?」

『えぇ…』


ギュッ


『リヴァイ?』

「すまなかった」

『え?』

「俺はお前をあの時守れなかった…すまなかった」

『なんで謝るのよ…私がリヴァイを守るのは今までずっとしてきた事…』

「それでも…俺はお前を守る、もう言った…なのに俺はお前を守れなかったんだ…」

『気にしないでいいわよ…私は横腹を刺されても死なないって自信はあったの,リヴァイが生きているなら』

「さっき俺は気付いた…お前が生きてるのは俺がいるからじゃない」

『え?』

「お前が俺を守ってきたから俺が生きている、だからお前は自分で生きているんだ…」

『…そ、それでも!』

「…」

『リヴァイはいつも私の隣にいてくれた。これからだって…"一緒に生きてくれ"って言ってくれて凄く嬉しかったの…!』

「…っ…」

『リヴァイが私を好きでいてくれて…。私は子供の頃、売春されかけた時…不思議な感覚を覚えた。この世界がどんなものか…でも1番分かったのは!リヴァイがいれば私は生きられる、強くなれる!』

「…俺が死んだらどうする?」

『もし、守りきれなかったら…生きたくないわ…』

「!」

『それは嫌……だから,リヴァイが生きて』

「…分かった、生きてやる」

『えぇ…!』ニコ

「傷、早く治して、結婚式やるぞ。お前が俺の女だって全ての野郎に見せつけてやる」

『また喧嘩しちゃダメだからね』

「あぁ」クスッ



こんな会話をしながらリヴァイは少し泣いていた

気が付かないとでも思ったの、バカ

私の胸の中で寝ていった彼をベッドの私の隣に寝かせ、ベッドの背にもたれていたら、彼は腰に手を回し、私に膝枕を求めた

すっきりと気持ち良く寝るリヴァイを見て、


『生きてくれてありがとう』


心からそう呟いた





それが彼に聞かれている事も知らずに






もしこのタイミングでハンジがバカみたいなテンションで入ってきたら殺す












1週間後





「うわぁ!綺麗!」

『似合ってるかしら?』

「凄く!これ以上の女神がいるなら呼んでこいってぐらい!」

『何よ,それ…』



また私の異常な怪我の完治の速さにより、すっかり治った

まぁまだ包帯は取れてないけど…全然大丈夫だった

今はハンジ達が作ってくれたドレスの試着中

リヴァイは部屋の前で待機している

「入ってきたら?」

と言われても

「当日まで取っておく」

と、一点張り…




『そういやエルヴィン達、ちゃんと仕事やってるのかしら?』

「セットは出来てるらしいから仕事は再開してるんじゃないかな?」

『そう。……通りで前日までの資料がいつもより多かったのね』

「アハハハハハハ…」

『ま、準備してくれたのは有難いけれど…』

「どっちかって言うと皆、あなたのドレス姿が見たくて頑張ってるんだけどね…」

『あれ?』

「ん?」

『あれ…処理しておいてくれたの…』

「あー、花の事か。リヴァイがしてくれたんだってさ。」

『セージ…』



そういや今日だ、命日。


「おい、そろそろ行くから着替えろ」


『はーい』

「じゃあ後ろ向いて!」




大変だったんだからな、セージの処理…

彼岸花は1本残り、俺の部屋に飾ってある

エルヴィンが俺の部屋に入ってきた時、

「珍しいな、お前が部屋に花を飾るとは」

なんて言いやがった

まぁ、珍しいのかも知れないが…

彼岸花は水に挿さず、土に埋めて育てるそうだ

風が吹くと揺れる花を資料をまとめながら見つめているのも悪くなかった

何故ならこの花は…

あなたにそっくりだったからだ








『よし、行きましょ』

「おう」

「じゃあこのドレスは明日の為にここに置いとくね!」

『ありがとう、ハンジ』

「いえいえ!」












イザベルとファーランの遺体は壁外のあの場所に置いてきた

でもエルヴィンが

「せめて墓は立てよう」

そう言った

大量の墓が並ぶ中、私達は目標の墓へ向かう



『久しぶり。イザベル、ファーラン』

「掃除しているか?」

『初めに言うのがそれ…?』

「別にいいだろ…」

『だいぶ来なかったからね。』




私達は掃除をし、花を2人の間に置いて手を合わせた



「イザベル、ファーラン」

『…』

「俺とあなたはまた一緒に生きていく、俺達はこれからも生きる」

『ちゃんと見ててね、絶対に幸せになるから』












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