コンコンッ
「失礼します」
「アルミン、どうした?」
「エレンが目を覚ましました」
「何か言っていたか?」
「任務が完了した後、あなたさんが目の前に現れ、体から出ようとしたそうです。でも、辺りが真っ暗になり、体が自由を聞かず、腕が勝手に動き、何かを掴んで引きずりこんでしまった。するとその人があなたさんだったと」
「それがエレンの証言か。何も悪事などはなかったらしいな。」
「だが、何故エレンの体は自由が聞かなかったんだ?その時あなたはエレンに何を?」
「そして、兵長、団長…」
「なんだ?」
「エレンにも、あなたさんと同じ"それ"が…」
「…分かった。ありがとう」
「失礼します」
「エレンにも着いていたか」
「あなた…」
アルミンが言う"それ"
あなたの顔には今、結晶のような跡が着いている
氷のように、綺麗に
このまま凍って行ってしまいそうな程、綺麗に
ゆっくりと息をして、ゆっくりと時が流れる。
エレンの顔にも同じような跡があった。
後の事はあなたに聞くしかない
あなた、頼む
起きてくれ…
俺を
俺を
1人にしないでくれ
お前まで失いたくない
・
・
・
翌日
ベッドに眠るあなたを見るのはこれで何回目だろうか
約束を覚えているか?
『今回は無理しないからね』
お前はそう言った
お前は初めて、俺との約束を破った。
これは、事故とも言える事だ
だけど、俺がお前に"無理するな"と言うのは
お前を失うのが怖いからだ
お前が強いのは俺が1番良く分かっている
俺が生きていれば、お前は死なない。
そんな事を考えるお前はバカだが、それを信じてお前に自分の身を守らせてる俺は相当なバカだ。
何が守るだ…
どうしたらお前を自信持って守ると言える?
お前はどうしてそう言えるんだ?
どうしたら俺に
『私はリヴァイがいれば死なない』
そう言える?
お前はなんでいつも俺の傍にいた?
地下街での喧嘩の時も、イザベルとファーランを失った時も、調査兵団に入った時も、お前はいつも俺の言うこと聞いて、傍にいてくれた。
俺には出来ない。
俺はあの時、お前に約束した
「お前に幸せと言うものを感じさせてやる」
どうしたらお前にそんな事が出来る
コンコンッ
「入れ」
「失礼します」
「アスク?どうした?」
「エレンの顔の結晶が取れました。アルミン達が団長に報告しに行ったので、私が伝えに」
「そうか」
「…兵長」
「あ?」
「副兵士長の為に何も出来ないなんて考えないでくださいね」
「…」
「副兵士長は強いです。私は元々副兵士長に憧れて憲兵から調査兵団に来たんです。副兵士長の力は本物です。でも」
「…」
「副兵士長は兵長がいないと何も出来ない人です」
「…」
「では、失礼します」
例え、そうだとしても…
ダメだ、気付いてしまったら戻れなくなる
だから、考えるな
「…無理か。」
悪かった、お前を無理させている原因は
俺だ。
「全てを捨て去る覚悟は、俺とお前がどちらも生きている限り、俺達はない」
『…』
「最初から分かっていた事を、何故今気付いたんだろうな…」
『…』
「お前は俺が死んだら、お前はその先どうして行くんだ?」
『…』
「ここで俺が自殺しても、お前は眠り続けるか?」
『…』
「…何とか言えよ…」
『…』
「…もしかしたらお前はその後、俺の後を追って死ぬかもな」
『…』
「お前には、死んで欲しくねぇんだ。」
『…』
「目ぇ、開けろ」
『…』
「俺はお前の事、ちゃんと好きだから」
『…ッ』
「あなた?」
『…ぅあ…イ"』
「あなた、あなた!」
『…あ…リヴァイ…』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。