第55話

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2,014
2022/06/06 17:42
『…。』





「あなた。」

『…』

「おーい,あなたー?」

『…なぁに?』

「ちょっと〜,目くらい合わせてよ」

『何よ,ハンジ?』

「エルヴィンがあなたを引っ張ってったもんだから,何かあったのかなーって」

『…まぁ,ちょっとね』

「何?」

『うーん…。部下としての信頼?』

「何だそりゃ」

『私も分からない』

「あっはっは!本当に何それ⁉︎」

『ふふっ,本当に分かんない』




エルヴィンが直接渡してきた手紙。

読んだ後,エルヴィンが何をしたいか分かった。

それが分かるのはまだ先の話…。




『…ハンジ』

「ん?」

『私,貴女に会えて良かったわ』

「急に改まっちゃって,どうしたの?」

『何でも無い。でも,本当に会えて嬉しかった』

「……私もだよ」

『親友として,ありがとう。』

「こちらこそ,ありがとう。」

『えぇ』

「何これ?」

『さぁ?』

「ぷっはっ!」

『ふふっ』





「分隊長!副兵士長!そろそろ出発です!」





「はいよ。」

『ありがとう』











私達はウォール・マリアの近くに着いた。




「リヴァイ!あなた!」




エルヴィンが私達の名前を呼んで合図する。



「行くぞ,あなた!」

『了解!』



馬の上に立つと,刃を抜いた。



「『っ!』」



立体機動装置で飛び出すと,壁に刺して

一気に潜り抜けた。

部下達も着いてきた。




「…は?」

『…』

「巨人が一匹もいねぇじゃねぇか」

『建物に隠れてるって可能性もあるんじゃないかしら。獣の巨人の力で』

「あり得るな。ライナー達もどこに居るか分からねぇし」

『戻る?』

「あぁ。」









指示で,全員が巨人の捜索に向かった。




「あなた,君は何人か連れて,逆側の壁へ向かってくれ。そこで待機だ」

『分かったわ。アスク!』

「はい!」

『3班を連れて,私に着いてきて!』

「了解です!」





私は,アスクや他の兵士達を連れて

エルヴィン達が居る壁とは逆の壁に来た。

エレンが巨人になって向こうの壁を硬質化で塞いでる間,私はこっち側の壁の穴を塞ぐという作戦だと思う。




「これで良かったのでしょうか?」

『何が?』

「副兵士長は巨人の女王です。エレン・イェーガーと同様,人類の希望です。なのに,単独行動も同然じゃないですか」

『大丈夫よ。エルヴィンは,そんな意味のない事を考えない』

「…」

『エルヴィンは,私を信じたのよ。私はリヴァイが生きてるなら死なない。その言葉を信じたのよ』

「…なら私も,副兵士長の言葉を,信じればいいんですね」

『信じるかは,貴女次第よ。』

「っ…」

『私だって,失敗くらいするしね』

「…それでも,私は信じます!」

『……そう。貴女は自信が強いのね』

「はい。」




すると,エレンが巨人化した。




「!」

『…そろそろね』

「副兵士長…」

『大丈夫よ。』



『総員!私の話を良く聞いて!』

「「「はい!」」」

『これからエルヴィン達が居る壁側から,信煙弾が放たれる!それが私が硬質化を使う合図よ!そうなれば,私はここから離れる!その時は,アスクにここの指揮を任せる!』

「!」

『頼んだわよ,アスク!』

「はい!」

『状況報告は常に行う事!何か変わった事があればすぐに報告して!』

「「「了解!」」」




バンッ!




『!』

「煙弾です!」

『行ってくるわ!』



「副兵士長!」

『何?』

「……ご無事で。」

『……えぇ!』











「もし…そうだとするなら…」





もし,ライナーやベルトルト達が隠れるとするなら…

壁の中!




「ライナーです‼︎」




「「「⁉︎」」」

「ライナー‼︎」






バンッ!






「アスクさん!」

「信煙弾です!」

「あれは…作戦一時中断の合図!」






良し,このまま硬質化で…!





「副兵士長‼︎」

『⁉︎』

「信煙弾です‼︎」




一度中断…

なるほどね,来たわね,ライナー。








『っと。』

「大丈夫ですか⁉︎」

『えぇ,大丈夫。』

「…現れたんですね,巨人が」

『そうね』





その瞬間,反対側の壁の辺りから

突如光が飛んだ。





「鎧の巨人です!」

「…どうしますか?」

『エルヴィン達に判断は任せるわ。私達は待機よ』

「「「了解。」」」




その直後,




『っ!』

「どうかしました⁉︎」

『い,たい…』

「!……硬質化が⁉︎」



私の顔には,エレンと倒れた時と同様

氷の様に硬質化が張り巡らされていた。




『っ…』

「副兵士長,しっかり‼︎」

「どうしたんですか⁉︎」

「副兵士長が,例の硬質化が…!」

「ハッ,今すぐ白の信煙弾を!」

「了解!」




白の信煙弾…

それは,私に何か異常があった場合に報告として打つ信煙弾。










「兵長!」

「何だ?」

「白い,信煙弾です!」

「!」



何か起きたか

硬質化か?

だが,あなたはエレンに触れてないぞ…?



「…エルヴィン」

「嗚呼。エレン!」

「はい!」

「君はあなたに近づくな」

「…信煙弾,ですね」

「嗚呼」

「了解しました」




エレンが近づけば,硬質化の症状で気絶という事も考えられる…

そうすれば,あなたが倒れたら

俺達は一気に不利になる。





「…あなた」













「…大丈夫ですか?」

『えぇ…。そろそろ硬質化も剥がれるだろうし,もう大丈夫。』

「…副兵士長」

『何?』

「無理をし過ぎですよ」

『…』

「心配です!副兵士長が…これ以上危険な事になったら…私は…」

『…大丈夫よ』

「!」

『…私は,リヴァイも貴女達も,失いたくない。だから,守り抜くには死んだらダメなの』

「副兵士長…っ」

『ね?』

「は…はいっ」

『ふふっ』



「副兵士長!打ちますか⁉︎」

『お願い!』



バンッ!







「…二度目の白い信煙弾…」

「無事みたいだな」

「はぁ…」

「良し,では___」



エルヴィンがライナーを倒すために策の指示を進めようとした直後

背後から巨人化の光がそこらじゅうに響いた。




「「「⁉︎」」」

「…マズい…」














「何が有ったの⁉︎」

「巨人化の光だよな,あれ⁉︎」




『…』




「副兵士長!」

「報告係の兵士です!」




「どうも,副兵士長。大丈夫でしたか?」

『えぇ。それより,巨人化の光があったみたいだけど』

「…獣の巨人が,現れました」

「獣の巨人…」

『…そう。エルヴィンは?』

「副兵士長はここで待機。安全を優先にとの事です。ここの班の者は副兵士長の護衛を!」

「了解です」

『判ったわ。貴方も戻って』

「はっ!」





『…』

「鎧の巨人と獣の巨人…」

「現れましたね…。」

『…?』

「何か?」

『……超大型は?』

「え?」

『ライナーと,獣の巨人の男と…ベルトルトはどこ?』

「…更なる攻撃が…」

『そういう事よ。ライナーは壁の間から出てきた。ベルトルトはどこからか,必ず出てくる…』

「…」






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