第70話

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2021/11/02 00:14
『暑い‼︎』

「ですね…」

「クソ…エレンの野郎め…」




私達リヴァイ班は,島の開設の為に

線路を作っていた。

エレンが言い出した。

俺達がやれば,体力作りにもなるし

島の開設が進む,と。

まぁ確かに,そうなんだけど…



『流石に暑いわよ!真夏にやる事⁉︎』

「あなたさん,全身赤いですけど大丈夫ですか?」

『あぁ。私日焼けは全部赤くなっちゃうのよ。すぐに元に戻るから良いんだけど…』

「あなたさん!硬質化で何とかなりません⁉︎」

「そっちの方が早く終わりそう…」

『…わかったわよ…』



硬質化って言ってもねぇ…。

やってやる!




『ッ!』



「「あ,」」

『あ。』

「出来たぁぁ‼︎」

「線路のはめ込み,できるじゃないですか!」

『本当ね…。』

「木打ちは俺らが頑張ります!あなたさんは,ミカサが運んできた線路のはめ込みしてください!」

『もう嫌ぁぁぁぁぁ‼︎‼︎』



「おーい!」




「「「!」」」

「いやぁ,この暑いのにご苦労様だよー」

「いえ。俺達は,このバカの護衛で仕方なく…!」

「てめぇら…図体ばっかデカくなりやがって…」

『まぁまぁ。ね?』

「チッ…」

「ヒィズルの件でしょうか?」

「たった今,アズマビトから連絡が来た。」

「それで…⁉︎」

「駄目だった。」

「っ…」

「ヒィズル国は,取りつく島も無いようだ」

「…」

「やはり,ヒィズルはパラディ島の資源を独占取引したいのだから,他国との貿易なんて協力しない」

「「「…」」」

「そして,世界はパラディ島が災いの種で有り続ける事を望んでいる。それが国々の団結を促し,世界の安定を担保しているからだ」

「じゃあ…俺達は地鳴らしに頼るしか無くて…ヒストリアの犠牲は避けられないって事ですか…」

「そうなる」

「そんな……こちらの意図もわからず,勝手に悪魔だと決めつけられて…どうして皆が平和になれる道を考えないんだ…」

「…それは,わからないからだと思う。私達が何者か,わからないから恐れている」

「そうだ。顔の見えない相手を信用するわけにはいかないからね」

「「「…」」」

「だから会いに行こう!わからない事があるなら,理解すればいい。」

「!…」

「それが,調査兵団だろう?」

『………はぁ…全く……』

「何よ,あなた。君は反対なのかい?」

『…いいえ,賛成よ。けれど,誰かさんが調査に頭が回りすぎて迷惑にならないようにして欲しいな,って思っただけ。』

「あははははぁ〜」

「お前は巨人の王として,必ず行かなきゃならねぇ。このハンジを差し置いてもな」

『わかってるわ。』

「なら,私達はもう行くよ。」

「しっかり仕事はこなせよ。じゃあな」

「は,はい…」

「またねぇ,愛しのあなたー!」

『さっさと行きなさい!』



あなたさんが,ハンジさんの馬のムチを引っ張った。



「酷いなぁ!」

『知るか。仕事しなさい』

「バカあなたー!」

『はぁ…』











「マーレに拠点を設けて潜入か…。ハンジさん,そんなこと考えてたんですね」

「…」

「そこで,本場のマーレ料理に舌鼓を…!」

「違う。私達が世界を知り,実情を調査することに意味がある。」

「まぁ結局は,義勇兵か,キヨミさんの力を借りることになるんだけどな」

「えぇー,俺何持っていこう。腹とか下したら大変だよな」

「胃薬と歯ブラシと…あと故郷の味を何か」

「話聞いてた?」

「ニコロは,色んな酒があるって言ってたよな。」

『もう…旅行じゃないんだから。』

「幸い,エルディア語が公用語だそうから,言葉は通じる国が多いんだってね。訛りや文字には,気を付けなきゃいけないけど」

『それなら私とハンジが勉強中よ。覚える事が多いわ。もう30なんだから…おばさんをこき使わないで!って思うんだけどね。』

「「「…。」」」

『…何?』

「今,30って言いました?」

『え…言ったけど…』

「え…?」

「え?」

「あなたさん…それ,歳の話ですか?」

『そうよ。私,歳,30。』

「「「えぇぇぇぇぇぇぇえええええ⁉︎⁉︎⁉︎」」」

『え?』

「嘘だ!」

「30歳だったら,もっと老けません⁉︎」

「え,3年経ってもそのままじゃないですか⁉︎」

『そりゃ毎日顔を合わせていたら,変化なんて分からないわよ。』

「いやそうですけど!」

「30歳は嘘でしょ⁉︎」

「あなたさん…本当の事言ってください…。あなたさんは何歳ですか⁉︎」

『女性に改めて歳を聞くのは,どうかと思うけど…。だから私は31よ。ハンジと同じ』

「じゃあ,兵長は⁉︎」

『それは本人に聞いてみて。聞く度胸があるなら。』

「「「っ…」」」

『あははっ,流石にその度胸は無いか!』

「…でも,本当に31歳なんですか?」

『そうよ。』

「母ちゃんは31の時,もっと老けてたのになー」

「俺もだぜ。」

『ふふっ。』



「……相変わらず,お前らは楽しいな。」



「…エレン…」

「あなたさんも,楽しい人ですね」

『…』

「一緒に居ると,楽しいよ。」

「「「…」」」

「でも,気は抜けない。」

『……そうね。相手はマーレだもの』

「… 俺達が平和を望んでいることを世界が知れば…ハンジさんの言う通り,何かが変わるかもしれない」

「もう少し…時間があればな。ジークはあと2年も無い。オレは5年と少し…」

「「「…」」」

「そろそろ決めなきゃいけない。オレの巨人の継承者を。」

「っ…」

「…」

「「「…」」」

『…。』

「私が引き継ぐ」

「お前じゃダメだろ。アッカーマン家が何なのか,まだわかってねぇんだ。しかもお前,半分は東洋人で,巨人になれるのかも怪しいって話だろ?」

「っ…」

「何より,ヒィズルと色々やっていこうって奴が,巨人になってどうする。お前じゃダメな理由は多過ぎなんだよ」

「…」

「ジャンの言う通りだ。」

「…じゃあ他に誰が」

「俺だ。」

「「「…」」」

「まず俺はエレンよりはるかに頭がいい。トチ狂って死に急ぐようなこともなく,いつ如何なる状況でも優れた判断力を発揮し,その責務を全うできる稀有な存在。」

「…」

「それが,俺だ。」

『…』

「お前のお下がりは気に入らねぇが,実際俺以上の人材はいるか?」

「そんなすげぇ奴を,13年でみすみす死なすわけにはいかねぇだろ。アホか。」

「あ?」

「お前は兵団の指導者とかを目指せよ。エレンの巨人は俺が継ぐから。なぁ,それが良いだろ,エレン?」

「コニー…」

「よくないですよ。あなたはバカなんですよ?」

「……え?」

「え?じゃなくて…バカにそんな重要なこと,任せられるわけないじゃないですか」

「…………え…?」

「はぁ…よだきぃなぁ,もおおぉ…。私が継ぎますよ。」

「……え?」

「実戦経験もあって,信頼できるのも私達ぐらいなら,消去法で私しかいないじゃないですか。」

「…お前ら…」

「…せれれんよ?せれれんっちゃけどね?」

「…………イヤ,それはおかしいだろ?」

「え?」

「いや…だからバカには任せられないって…お前が言ったんだぞ?」

「…ん?」

「お前は俺よりバカなんだから…お前の言ってることが矛盾してるんだぞ?それがわからないのか…?」

「え?」

「え?」

『はい。二人とも戻ってきて。』

「「はい!」」

「……俺は,お前らに継承させるつもりは無い」

「何でだ?」

『…』



「お前らが大事だからだ。他の誰よりも…。だから…長生きしてほしい。」




『!…』

「「「…」」」

『…』

「「「…」」」

「………は⁉︎」

「っ…///」

「てめぇ!何赤くなってんだ⁉︎どうすんだよ,この空気をよぉ⁉︎///」

「すまん…//」

「ジャン,夕日のせいだよ…。みんな赤くなってるから…//」

「…そうか。夕日なら仕方ねぇ…よな…///」

『ふふっ。』

「…あなたさん…///」

『そっか。大事か。』

「…はい…//」

『そっか…』



あなたさんは,俺の頭を撫でた。



『そっかそっか!』

「っ…///」

「てめぇ!何撫でられてんだよォ⁉︎」

「アァ⁉︎」

「ちょっと,喧嘩しないで下さいよ!」

「そうだぞ!」

「チッ…」

『…撫でられたいの?』

「え…⁉︎」

『?』

「いや,そう言う事じゃなくて,その…」



あなたさんは,ジャンの頭に手を伸ばして

帽子を取って自分が被って

ジャンの頭を思いっきり撫でた。




『よーしよし!』

「ちょっ,あなたさん⁉︎///」

「あっははは!」

「くくっ,ジャン!お前!」

「笑うんじゃねぇよ!」



『…そっか,大事か。』

「はい。」

『…私も。貴方達が大事。大好き。』







皆様へ。


いつもこの作品を読んでいただき,本当にありがとうございます。

皆様にご協力して欲しい事が一つありまして…

誕生日を教えていただきたいのです!


「あなたの誕生日…この話数になって,全く考えてなかったな」


って思ってしまったのです…。

なんなら誕生日編を書こうと思ってますので

ご協力お願いします!


           SEINA⚡️

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