第45話

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2021/07/27 16:41
「巨人が壁に登ってきます!」

「作戦は、巨人が壁の先端に手をかけた瞬間だ!固定砲撤退!サシャ、アルミン、用意!」

「「はい!」」





「あなたさん…」

『大丈夫。大丈夫よ』

「…はい」




「サシャ、アルミン、撃て!」

「ウッ!」





「よし!手を封じた!」

「あなた!」

『っ!』




手から腕、上半身までは塞ぐ!

ロッド・レイス。

貴方がどれだけ大きくても、私に適うことはない。

私はこの世の全ての巨人の王だから。



『さよう、なら!』




悪いことしたら何かの罰が下される。

貴方の罰はこれよ。




『エルヴィン、いいわよ!』

「エレン!」

「ヴァァァッッ!」



やっぱり、口は顔の部分に穴が開いているだけ。

このまま火薬を突っ込めば、体は分散される。

再生する前に項の部分を削ぐ。

体力は残った、まだ戦える!



「よし、作戦通り!」

『リヴァイ、皆!今よ!』



「私も行きます!」

『…えぇ。行ってらっしゃい』

「はい!」





さぁて。

どうやってこの中から項の部分を見つけるの




「あなた、見つけられたか?」

『勘で何とかするしかないわ』
 


どれ?

どれなの?



『…!』





「クソっ、どれなんだよ!?」

「項が下に落ちて、それが再生したら元も子もないですよ!」

「え、ヒストリア!?」




『ヒストリア!』

「あなたさん!」

『あれよ!』

「!」



きっとあれだ。

脛骨の部分が刺さってる



『よし、削いだわ!』

「あなた、エレンを頼む」

『分かった』







『エレン?』





エレンが、項から出てこない




『おーい、エレン』




出て来ないと、私は出すこと出来ないわよ


仕方ない、この力で




『痛ッ!』






何があったの…?

急に目の前が光って、顔が熱い




「あなた!?」




エルヴィン

私、一体何が起こってる?

顔が熱い、足が動かない、目がチカチカする





エレンの巨人の項から手が伸びて、私の腕を掴んだ

項に引きずり込まれ、それが一瞬のうちに

辺りが真っ暗になり、エルヴィンの左手だけが見えた。

引きずり込まれた先には、エレンの泣きじゃくる顔が見えて、分かった。

エレンも私と同じこの状況が理解出来てなくて、怖がってる。

エレンはいた。

この真っ暗な闇の中で。

でも、何故こんなことに

あの伸びてきた手はなんだった?

エレンの体に何があった?

作戦が終わった後、エレンは巨人の体に何が?

考える事は出来るのに、喋れない。

怯えて私に助けを求めるエレンに、いつものように

"大丈夫"

そう伝えてあげられない

何があった

私は何をした

ごめんなさい、エレン。

分からない










「おい、エルヴィン。何があった?」

「あなたがエレンの巨人の体の中に引きずり込まれた!急いでエレンとあなたを出してくれ!」

「なんだと!?」

「エレン!あなたさん!」

「出します!」






「どういう事だ、エルヴィン?」

「ほんの一瞬だった。あなたがエレンを出そうとした時、項から手が伸びてきて、体に引きずり込まれた」

「どういう事だ…今までそんな事は1度もなかったはずだろ?実験の中でエレンは毎回気絶しているはずだ」

「さぁ、分からない。後で2人に話を聞こう」




「兵長、あなたさん出ました!」

「あなた、あなた!」

『………。』

「息はある、急いでエレンとあなたを本拠地へ!」

「「「了解!」」」





あなた、お前に…

お前の体に、一体何があった?

















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