『104期兵?』
「あぁ、もうすぐ卒業らしい。キース教官に聞いてみた所賛成してくださった。今回の104期兵達は調査兵団に所属する者が多いらしい。なのでミケ、ハンジ、リヴァイ、あなた、この4人で見に行ってもらいたいのだ。ちょっとした見学だ」
「お前は行けないのか?」
「あぁ、会議に呼ばれていてな」
「私は全然構わないよ!」
「俺もだ」
「あなたは?」
『リヴァイが行くなら私も行くわ』
「じゃあ行く」
「では頼んだ」
・
・
・
「貴様ら良く聞け!この度この訓練所に貴様らとは違う壁外で巨人と戦い、生き延びている兵士たちが我々の様子を見に来てくださった!」
「おぉ!誰だろう!」
「お願い致します!」
「どうも!皆おはよう!私は調査兵団分隊長、ハンジ・ゾエ!よろしくね!」
「俺はミケ・ザカリアス、同じく調査兵団分隊長だ。よろしく」
「調査兵団兵士長…リヴァイ」
『私は調査兵団副兵士長、あなたです。よろしくね』
「皆さんは調査兵団の上官達だ!貴様らより知識や技術も高い!この機会を逃さず、しっかり叩き込んでもらえ!」
「「「はいっ!」」」
「あの!」
「あ?」
「リヴァイ兵長、格闘術教えて貰えませんか?」
「名前は?」
「エレン・イェーガーです!」
『教えてあげたら?』
「…いいだろう、躊躇はしない」
「ありがとうございます!」
『貴方は?』
「え?」
『ずっとぐるぐる回ってたから…相手がいないのかと…』
「あー…まァ」
『お名前教えて貰っていい?』
「アニ・レオンハートです」
『格闘術、自信ある?』
「はい」
『んじゃ、思いっきりかかって来て』
「あ、」
『よいしょ…!』
バサッ、バタンッ
「えぇ!?」
「いつものアニじゃない!」
「簡単に投げられた!?」
「私は普通だよ」
『大丈夫?』
「…。」
『どうしたの?』
「いや…小柄なのにすごく筋肉あるし、強いなって…」
『でもアニも強かったわよ。良い友達になれそう』
「友達…」
『えぇ』
「ありがとうございます…。」
『ふふっ』
その頃、リヴァイとエレンのペアは…
「おい、もうだんまりか?」
「正直まだやりたいですけど…体が動きません…」
「格闘術っていうのは自分で自分の力や体にあったものを見つけていくのだろ?どんな手を使ってもいい、俺を1発投げてみろ」
「(この前アニがやった格闘術が効かなかった…!だったら力技で勝負だ!)」
「分かりました!行きます!」
「来い」
「オラッッ!」
右の脇下と頭に腕を組、引いて投げて地面に押さえつける…俺がアニにやり付けられた格闘術!
「お、」
「これで…どうだ!?」
「相手に攻撃するより戦闘不能にする事を選んだ…」
「もういいですか!?」
「分かったから外せ」
「あ、はい!」
「見事だが、それは自分で考えたか?」
「え?」
「自分の力や体にあったものを考えたか?」
「いえ…でも!これが今、俺に1番あったものだと思います!」
「…元気だな、お前…課題終了」
「ありがとうございました!」
「んじゃ誰かと相手してこい」
「はい!ミカサ、やるぞ!」
『塩対応…』
「あ?」
『いや、なんでもない』
「そう言えば友達が何とかって言ってたな」
『えぇ,あの子』
「目付きがガキの頃のお前に似てる」
『何よそれ。格闘術が上手くて、小さい頃からやってたのかしら?』
「ほう…あ?」
『何?』
「なんであいつ投げられてんだ?」
『?』
「ヴァッ」
「すみません!大丈夫ですか?」
「君強すぎるよ!」
「ありがとうございます」
「褒めて…まァ褒めたか」
「ハンジさん、すごい力はあるのに…」
「私格闘術は得意じゃないんだよー!」
「ミカサはもっと小さい頃から強いんです」
「だろうね、強さが尋常じゃないもん!」
「それは礼を言うべきですか?」
「まァ褒め言葉!」
「ありがとうございます」
「そうだ、尋常じゃないって言ったら…」
「リヴァイー!あなたー!」
「あ?」
『ん?』
「2人で戦ってみてー!」
「いきなり何を言い出すんだよ」
「いいじゃん!やって!」
『ハンジが今日こそ風呂入ってくれるならね』
「…分かったよ!だからやって!」
「いいのか?」
「さァ?キース教官に聞けば?」
「問題ない。」
「だとさ」
『それじゃあ久しぶりに』
「やるか、今日こそ勝つ」
「勝つ?どっちが強いんですか?ハンジさん」
「今まで10回以上やってきてあなたは圧勝」
「マジ…」
チンチンチンチン!
あなた、勝者!
『勝った!』
「クソッ」
「相変わらず強さが揃わないね〜」
「格闘術はあなた、立体機動装置はリヴァイが上」
「変なカップルな事~」
「え?」
「カップル?」
『何言ってんのよ…』ギチギチ
「痛い痛い!」
「…クソメガネ」
「まァ本当の事だ、仕方ない」
「それで終わるか」
「まぁまぁ」
「では貴様ら!しっかり叩き込んでもらったか!?」
「はい!」
「では皆さんに礼を!」
「礼!」
「「「ありがとうございましたァ!」」」
「じゃあね!」
『またね、アニ』
「はい…!」
・
・
・
「いやー元気だねー」
「全くだ」
「疲れた…」
『エレンだっけ?相手してたの』
「あぁ、うるさかった」
「ははっ」
「何笑ってやがる」
「ごめんごめんw」
『今日のご飯なんだろ…』
「腹減った」
「じゃあ競走!」
『埃舞うからやだ』
「1番最後が酒を奢る」
「乗った」
『分かった』
「よーい、ドン!」
「おや?ナナバ、ハンジ達はまだ来ていないのか?」
「あぁ」
「いつもなら来ているんだがな」
バタンッ!
「1番」
『2番!』
「俺達同じじゃねぇか」
「じゃあ2人で奢ろ!」
「ハァー…」
「何してきたんだ?」
「競走」
『酒をかけた』
「君達ね…」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。