第51話

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2020/07/29 12:16
「あなたさん,連れて来ました!」



するとあなたさんは,掌を広げた。

私達は,"乗れ"と言っているんだと察した。



「あなたさん,作戦とは?」



あなたさんはジャンの質問に答えない。



「あなたさん?」



『ミカサ,ジャン,こっちよ!』

「「!」」


あなたさんは自分の巨人の項から,上半身だけ出していた。


「大丈夫ですか⁉︎」

『えぇ,大丈夫よ。いい,ミカサもジャンも,このままでいいからよく聞いて』

「はい」

『エレンは自分の巨人以前に自分自身を留められていない。リヴァイにさっき,発煙筒を大量に持って来て欲しいと伝えたわ。』

「!」

「それって…」

『えぇ。ミカサが1番最適なんだけど,ミカサには私と常に動いて欲しいから…出来るわね,ジャン?』

「…ッ」

『………分かってるわ。こんな事やらせて,怖いに決まってる。』

「……すみません」

『ジャン,私の目を見て』

「…。」

『私を信じて。今この場で,貴方にとって誰よりも信頼出来るのはこの私よ』

「…………分かりました,貴女を信じます」

『えぇ。』

「あなたさん,エレンが!」

『!』




さっきまで唸り続けていたエレンが起き出した。




『私は項の中に戻るわ。リヴァイの発煙筒が設置出来たら,作戦実行よ。くれぐれも,その間に死なないでね』

「「はい!」」










「ハンジ!」

「リヴァイ!持って来たかい⁉︎」

「あぁ,20個ある」

「そんなに持って来たの?」

「あぁ。後,エルヴィンも来たぞ」


「やぁ,ハンジ」


「下手に動くんじゃねぇぞ」

「あぁ。」

「それじゃあ,配置に発煙筒を!」

「「「了解!」」」







「配置完了しました!」

「リヴァイ,いいよ!」









助けて

そう言えない。

まず口が効かないし,そんな事言う自分が憎い…

あなたさん…俺はどうしたら良いですか?



エレン,もう少しよ。

もう少し,待って









「あなた‼︎」

『!』


「あなたさん」

『コクッ』
 




まずは,エレンにミカサを認識させる。

時間稼ぎとして。



「エレン!」

「ヴァァァ!!!」




「エレンがミカサを見ました!」

『…ウゥ』

「良いですね?」

『コク』



認識したら,ジャンが私の髪の裏に隠れる。



「エレン,貴方どうしちゃったの…」

「ウゥゥヴ…」

「お願い,起きて!」



「ミカサ!」

「!」

「今だ!」




「ミカサ…まだか…⁉︎」



「ハンジさん‼︎」

バンッ!


信煙弾をミカサが打った。

これが発煙筒に火をつける合図!


「全員,打て‼︎」






この場にいた全員の視界が消え,咽せる者をいて…



「ヴァァァ!!!」


エレンの目の前にいたミカサはもういなかった。


「…ゥゥ…」





「ミカサが消えた…」



すると,煙から巨人のシルエットが現れた。


「ヴァァァ!!!」


僕達は,この作戦を知らされていない。

まさかあなたさん,エレンの視界を奪って,無理矢理にもエレンに勝つつもりなのか⁉︎

……いや,あなたさんがそんな甘い事を考えるはずがない。



すると…


煙の中から,人影が見えて…


「あれは!」

「ミカサとあなたさん⁉︎」


ミカサがあなたさんを抱き抱える様にして立体起動装置で進んでいる。


『エレン,起きなさい』


あなたさんが優しくそう言うと,エレンの動きが少し治まった。

そして_


「ウゥゥヴ…ウ…」


あなたさんの後ろにいる巨人が,立ち上がり…


『…。』


あなたさんが右腕を伸ばして…


『ッ!』


右腕を降すと同時に,その巨人はエレンに殴り掛かる。


「殴りかかった!」

「コニー,危ないですよ!もう少し離れてください!」






「木が多い所で良かったですね…」

『えぇ…。そのまま,項を噛んで裂いて!』



すると,その巨人はあなたさんの言った通りにした。

エレンの巨人の項を裂き,中からエレンが現れた。



「エレン!」

『ミカサ,エレンを出して来て!』

「はい!」








「やっと…」

「やっと…」

「エレンが治まった…」

「大事な実験だったな…」



事は治まったものの,僕は1つ疑問が浮かぶ。



「あなたさんがミカサに抱かえられて,飛んでいた…。」







なら,煙の中にいた巨人は,誰だ…?







「エレン!エレン!」

『……大丈夫よ,気を失っているだけ。』

「良かった…本当に…」

『そのままハンジ達のところへ行って,指示を貰って』

「分かりました!」


ミカサはエレンを連れて,飛んで行った。





『さてと。』



あなたさんは,例の巨人に近づいて行く



『お疲れ様。偉かったわね』

「ウゥゥ…」

『ジャン』












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