ーー 次の日 ーー
私はあわてて頭を下げると先生に優しい顔でこう言われた
私は誤魔化すように目を逸らした
帰りの車で私は考えていた
確かにあの頃とは違う…私は変われた
友達とも普通に話せるようになったし、笑えるし笑顔だって今は増えてる気がする…
ー どうして? ー
そんなの翼のおかげに決まってんじゃん…
わかってる、私の中で翼の存在は大きすぎた
その分信用はできるけど、いつまた会えるか分からない…
ー 翼 ー
ー あいたいよ ー
ーー ツッッ!… ーー
耳を済ませると河川敷のグラウンドからから草野球の人達が野球をしている声が聞こえる
そんな私の胸の内を察したのかお母さんが車を止める
お母さんはどこか嬉しそうだ
お母さんはファールゾーンの、それもかなり後ろの芝生を指さした
それはフラグなのでは?と思いながらも私はその芝生に座って草野球を見ることにした
試合はまだ2回の表
私はのびのびと試合を観戦していた
4回裏
赤色のユニフォームを着たチームのバッターがもう少しでホームランに届きそうな豪快なバッティングを見せる
気づけば私は翼との過去の記憶を辿っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。