薫「何!?離してよ!総司?おかしいよ?」
総司は更に手に力を入れて私の腕を掴んで離さない。
薫「痛いよ。総司」
バンッ。
二人は空き教室にいた。
薫は黒板に壁ドンされていた。
薫「何?総司。おかしいよ?」
目の前に総司の顔がある。総司の目の中に私がいるのだ。
逃げたくても総司の大きな腕が邪魔をしてくる。
薫「やめてっ総司」
総司「やめない。」
総司の目は本気だった。
総司の体が私の体を包み込んでいる。
総司「俺、薫のこと幼馴染として見れなくなったんだ。」
薫「えっ?」
総司「俺、薫が好きだ。」
頭が真っ白になった。総司が私のことを好きだと⁉
薫「じょ冗談でしょ?もうほんとに嫌だー」
総司「違う。本気だ」
ないないないない。本気にしちゃ駄目だ私。
総司「これでも嘘だって思う?」
何?総司の顔が近づいてくる。
あれ?口に何かが当たってる。総司の顔が私の顔にくっついている。
えっまさか…これって
総司の顔が離れていった。
総司「オレは本気だから。」
総司は下を向いていた。
顔が暑い。春なのに、夏のように暑い。
なんでだろうか。私にはわからなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!