「おはよーっ。山下さん。」
目の前から声が聞こえる。
恐る恐る顔を上げる。
岳「おはよーっ。山下さん。」
薫「おっおはよー。」
岳「どした?元気ないけど。あっ聞いたよー!B組の高瀬と付き合ってんだってー?」
えっ?えっ?ええええ!?
いっ今なんて!?
薫「今、なんて!?」
岳「だーかーらー、高橋と付き合ってんだろ?」
薫「はっはぁー!?」
思わず大きな声を出してしまったためみんながこちらを見てきた。
岳「プフ、プフフフ。」
薫「すみません。すみません。」
岳「ウケる。山下さんおもしろ。」
薫「はぁ。付き合ってないから。」
岳「えっ、そうなの?へー」
岳が顔を覗き込んでくる。
薫「何?」
岳「いや、別に。なんでもないよーん。」
岳がまえをむく。
ふー。一息つく。
岳「ねぇねぇ!山下さんってさ!」
岳は、バット後ろを振り返ってきた。
その衝動で私は顔を上げた。
二人の顔はくっつくほど近かった。
岳「あっごめんっ。いきなり」
薫「うっうん…」
沈黙が流れる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。