第11話

空室の使用価値
34
2020/05/25 14:00
日差しが差し込む。


柔らかな光なのだろうが、今の彼等には後ろ盾無しに矢が刺さっているような気であった。
函波 凛架
函波 凛架
……おはよう
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
あ、起きたんだ
函波 凛架
函波 凛架
うん
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
他の皆んなはどうかしら
集合場所と決めていた応接間に向かう。



重量が上から圧を掛ける。気だるい。



既に集まっていた友人達は、慎重な顔持ちであった。
東雲 陽花
東雲 陽花
起きたか
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
え、うん
神楽 千沙
神楽 千沙
大変な、こと、になりました……
函波 凛架
函波 凛架
どういうこと?
水野 真斗
水野 真斗
……見てみろ
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
どこを?
花島 来
花島 来
気がつかなかったのか?
函波 凛架
函波 凛架
……なにに?
箸蔵 剛士
箸蔵 剛士
ロビーの隅にあったソファ、見てこい
二人の背筋に何か得体の知れないものが這い上がってきた。


好奇心と恐怖の間で、応接間のドアを開いた。



函波 凛架
函波 凛架
!!
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
……これ、は?


何故気がつかなかったのか。ロビーの隅のソファには____________
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
あの人って……
函波 凛架
函波 凛架
ここの、園長、でしょ?



死んでる、
箸蔵 剛士
箸蔵 剛士
あれ、どういうことなんだ
結座釋 悠乃
結座釋 悠乃
わ、私に聞かないでよ!
函波 凛架
函波 凛架
今日一番早く起きたのは?
神楽 千沙
神楽 千沙
わ、私、です……こ、怖くて、声も、出なくて……
東雲 陽花
東雲 陽花
どうしたもんだか……
水野 真斗
水野 真斗
ちょ、ちょっと待てよ
東雲 陽花
東雲 陽花
なんだ
水野 真斗
水野 真斗
ここにいるのは俺たちだけだろ?
箸蔵 剛士
箸蔵 剛士
そうだが……?
水野 真斗
水野 真斗
しかも窓も扉も閉まってる
花島 来
花島 来
……なにがいいたいんだよ
水野 真斗
水野 真斗
それって、




俺たちの中に犯人がいるってことじゃないのか?
東雲 陽花
東雲 陽花
なっ……!
体を逆撫でするような嫌悪感、そして何にも変えがたい恐怖。





お前か?それともお前なのか?




心の中で、見苦しい葛藤が続く。















そうだよ、犯人は自分だ。










犯人は、心の中で誰よりも大きな声呟いた。







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