第6話

5 やってしまった。
3,636
2020/03/06 14:39
夜桜
...
そんなロボロを見て、嫌な予感を感じる。

ロボロが恐る恐る差し出してきたのはーー


コーヒーのような液体で濡らされた書類だった。
ロボロ
...ご、ごめん...
俯きながら話すロボロの目の下には隈が出来ていて。

そんなロボロを見ながら、にっこり笑って
夜桜
大丈夫です。
夜桜
ロボロさんは部屋に戻って寝てください?
ロボロ
...お、怒らへんの...?
夜桜
何言ってるんですか!
夜桜
手伝わせたのは私ですよ?
夜桜
むしろ私の方が悪いです
そう話した...

ものの。

内心は私も焦っている。

時刻は5時を過ぎていた。

ロボロが渡してきた量を見ると、乾かしてから終わらすのは無理だろう。

...これは私の失敗だ。
ロボロ
そ、そんな...
夜桜
ほら、睡眠は大事なんですよ?
夜桜
ギリギリ間に合うと思うので、ロボロさんは部屋に戻ってください
ロボロ
...
ロボロ
ほんとに悪いなぁ...
強気な私をみて諦めたのか、ロボロは部屋に戻っていった。

...ギリギリ間に合うと思う、なんて嘘だ。

あー、終わったと思いながら、濡れた書類をドライヤーで乾かす。

乾かし方が他に無いのだ。

っていうかこれ...コーヒーっぽいからシミ残るんじゃ...?

ーー終わった。1から作り直すしか...
_________
夜桜
...すいませんでした。
コネシマ
いやええんや!最初のころから押し付けた俺が悪いんやから!
深く頭を下げる私に、慌てながらフォローしてくれようとするコネシマ。

オスマンもあわあわしながら必死にフォローしてくれている。

時刻はすでに6時40分。


1から作り直そうとしたものの、やはり時間が足りなかった。

...あえてロボロのことは言わなかった。

こっそり、ロボロの部屋を見る。

まだ寝ているらしいロボロの部屋からは、落ち着いた空気が流れている。
夜桜
本当に...すいませんっ...!
オスマン
いや、本当に大丈夫めぅよ!?
オスマン
頭を上げてめぅ...
ショッピ
...?何やってんすか
コネシマ
!ショッピィ!!(爆音)
ショッピ
...朝からうるさいっすよクソ先輩
そんなやり取りをしていると...

ガチャ、と音をたててロボロの部屋の扉が開く。
ロボロ
...うるさいなぁ...
眠そうに出てきたロボロは私をみて驚いた顔をした。

かと思うと、私の側にいるコネシマとオスマンを見て察したかのように駆け寄ってきた。
ロボロ
な、なぁ!
オスマン
?どうしためぅ?
夜桜
っ...(まずい...!)
ロボロ
書類のことで話してるんやろ!?
コネシマ
...そうやけど、それがどしたん?
ロボロ
すまん!!
そう言うと突然土下座したロボロにその場にいた皆が驚く。

もちろん私もだ。
ロボロ
俺が...俺が悪いんや!
オスマン
...ロボロ、その話よく聞かせてくれる?
いつの間にか「めぅ」が取れたオスマンに驚きつつ、一人焦る。

ロボロがこれから何を言うのかが分かるからだ。
ロボロ
俺が...メイドさんの書類勝手に手伝おうとしてな、マンちゃんとシッマの書類半分くらいやってたんや
コネシマ
...
ロボロ
そしたら、肘でコーヒー入れとったマグカップ倒してもうて...!
ロボロ
それで...コーヒー、書類にかけてしもうたんや
オスマン
...?
全てを語ったロボロを前に、オスマンが?を頭に浮かべる。
オスマン
待つめぅよ
ショッピ
どうしたんすか?
オスマン
一応メイドさんから受け取った書類には、コーヒーの痕なんて無かっためぅよ...?
コネシマ
...!俺もや!!!(爆音)
バッ、と全員の視線が私に向けられる。
ショッピ
も、もしかして、この書類の全部...1から作り直したんっすか!?
ショッピ君が驚いたような声をあげる。
動揺しながらもコクッと頷く。
ロボロ
え...
コネシマ
す、すげぇ!!(爆...音)
夜桜
...え?
な、何が凄いのだろうか。
オスマン
いや...本当に凄いめぅ
夜桜
あ、あの何が...?
ショッピ
え、ちなみに何分で作り直したんっすか?
夜桜
え、えーと...
夜桜
だいたい30分?
コネシマ
この量作り直すなんてお前すっごいな!!
ロボロ
...
ショッピ
ほんとですよ...鬱先生と匹敵するくらいっすよ...
夜桜
そ、そんなに...?
そんな会話をしていると、ロボロがいなくなっていることに気づく。
夜桜
...あれ?ロボロさんは...?
オスマン
...いないめぅね
夜桜
ちょっと私、探してきます。
ショッピ
えっ、ちょっ...!

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