第13話

二章 12 一難去ってまた一難
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2020/03/08 06:46
あれから2週間ほど経っただろうか。

最初こそいろいろなことがあったものの、今では幹部たちとも仲良くやっている。

ただ...
夜桜
眠いんだよなぁ...
毎日続く書類の数々。

まぁ、勝手にグルッペンの書類やら鬱の書類やらを手伝っている私が悪いのだが。

それに、a国にいた時は今のように書類をやらされていたせいで、なぜか隈ができないという耐性がついてしまっていた。
夜桜
ぁ...食事の時間...
時計を見ると、とうに食事の時間は過ぎかけていて。

あー、今日は食事抜きかな...

そんなことを思っていた。

〈ピーーー〉
そんな中、無線の音が部屋に鳴り響く。

その無線から聞こえてきたのは

〈メイドさん、食事の時間めぅよ~〉

と言うオスマンの声だった。
夜桜
...すいません、今日は行けなさそうなので後で部屋に持っていきますね
〈わかっためぅ~〉
〈ピーーー〉
夜桜
...はぁ
夜桜
(食欲も起きないし...)
ずっと同じ姿勢で書類をやっていたせいか、腕が痺れてくる。

でも気にしている時間などない。

これから全員分の服の洗濯、食器洗いに行かなきゃ...
調度いいところで書類が終わると、急いで食堂へ向かう。

食堂の扉を開けるとキッチンに早歩きで行き、食器を洗おうとする。
でもーーまた無線がかかってきた。

〈ピーーー〉

〈ゾムが訓練所で暴走しとる!! 誰か応戦に来てくれ!〉

〈ピーーー〉
夜桜
(ゾムが...暴走?)
応戦に行かなきゃ。

それはわかっているのに、どこかで嫌がっている自分がいた。

まだ書類が...洗濯だって...

...って、なに考えてるんだろう。
夜桜
...早く行こ
_________
訓練所に着くと、そこには幹部達がゾムと戦っている姿があった。

...あぁ、そうだった。

ゾムは『我々だの脅威』、だったんだ。

ナイフを二本...いや、忍ばせているのを含めて4本を振り回して暴走するゾム。

でもなんで暴走...?
ロボロ
ぺ神!解毒薬はまだなんか!?
毒...

そういうことね...

ボーッとする頭で考える。

ろくに睡眠も食事もとっていないせいか思考回路が遮断されそうだ。
そんな時。

ショッピ君が声をあげた。
ショッピ
っ!!夜桜さん、危ないっ!!
夜桜
ぇ...
気がつけば幹部達のところからゾムが消えていて。

上を見上げれば、私にナイフを振り落とすゾムがいた。
避けようとする。

...あれ?
夜桜
(体が...動かなっ...!!)
ゾム
いィヒヒひヒウひゃひひヒ
っ...!
もうダメだ。

そう思い、目を瞑った時。

ドンッと体に衝撃が走った。

思わず目を開ければ
夜桜
鬱...さ...
血を流す鬱がいた。
いっ...たた...
ゾム
あヒウヒヒひヒァあア
まさか...庇って...?

覆い被さるように見下ろす鬱から垂れる血が、顔にかかった。

顔にかかった血は垂れて口へと入る。

鉄のような味が口のなかで広がる。

呆然として鬱を見ると、

鬱の上から心臓めがけてナイフを振り落とすゾムが見えた。

ザーーーーーーー

また、砂嵐が頭のなかで吹きあられる。
_______
???
もうダメかもな...あはは...
そう言って笑う...

彼は...確か...
夜桜
消えちゃだめ!!
そう叫ぶ彼女はたしか...


私だ。
???
血が酷いな...
私を庇って血を流す彼の血が口に入る。


ーーそうだ。

決めたじゃないか。



もう同じ過ちは繰り返させない、と

_______
夜桜
うウ...ふ、アはハハッ
!?
鬱を投げ飛ばし、太股に潜ませてあったナイフを取り出しゾムのナイフを弾く。

...やばい、正気を失いそう。

でもーー
夜桜
同じ...ことハ...くリカえサナイ...
ゾム
ハハひヒゥアいヒヒヒヒイ
トントン
真っ正面から向かってくるゾム。

正気を失いそうな意識のなか。

にやっと笑い、私もゾムに向かっていく。
夜桜
わタシだっテ...つツヨインでスよ...?
疲れはてた体を無理に動かし、ゾムのナイフを弾いてはナイフを当てようとする。

が、なかなか勝負はつかない。

...それに、スタミナもゾムのほうが上手だったようで。
ゾム
イひひッ
夜桜
っ!!
避けようとするが避けきれずに腕を軽く切られてしまう。

いつもの疲れも出てきて、だんだん押されてきた。
ゾム
む...ノウ...ムノうハイラなイ...
ゾム
ムノう...ジャマすルナ...
夜桜
!...
...無能。

わたしのほうをみながら言うゾムに正気は無くて。

...でもわかっていても。
夜桜
はは...無能はないでしょ...
メイドとしてのことはやっているつもりだ。

...無能なんて、言うなよ
夜桜
悲しくなんじゃん...
最後の力を振り絞ってゾムに抱きつき、身動きを封じる。

もちろんゾムも抵抗するわけで。

ゾムは手首をうまく使って私の脇腹を刺そうとしている。

とうとうバランスを崩して私が押し倒すような体制になり身動きを封じているが、やはりゾムの力には負けてしまった。
今度は逆の体制にされてしまい、首を絞められる。


殺すならジワジワって...サイコパスかよ...
あまりの苦しさに顔を歪める。
コネシマ
おらぁぁぁぁっ!!!
もう少しで死ぬという時、いつの間にかゾムの後ろにまわっていたコネシマがゾムを気絶させた。

だが、それは私も同じだったようで。

ゾムが気絶する寸前、私も酸欠で気絶してしまったのだった。

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