すいません!なんか繋げにくくなってしまったので、前話を少し変えさせてもらいました!(by作者)
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...首を伝う冷や汗。
さらに下がる室内の温度。
まずい。このままじゃ、私だけじゃなくてこの人達まで...!!
そう言ってぺいんとが話始めたのは、あった出来事の『全て』だった。
私を連れ去ったこと。
抵抗され、骨折させてしまったこと。
一部を抜粋していたが、本当のほとんどを語った。
ここで否定しても...余計にぺいんと達が疑われるだけ。
暖かいはずの場所が、とてつもなく冷たく感じる。
拷問部屋。
とても冷たい声で放たれたその言葉。
日常組幹部達とらっだぁのほうを見ると、みんなが動揺していた。
...なのに、ぺいんとは...
覚悟を決めたような顔をして、こちらを振り返ったぺいんと。
...もしかして、最初からこれもわかってて...?
ゾムに腕を引っ張られ、立ち上がらせられるぺいんと。
みんなが名前を呼ぶ中、ただ唖然と座り込む私。
...また、私は『あの時』のように...
無力なのか...?
今までにないような大声で叫ぶ。
驚いたのか、思わず振り向く幹部達。
声が震えかける。
あれ...身代わりになるのって、こんな勇気がいるんだったっけ...?
震える手で、太股に手を伸ばす。
察してしまったのか、ぺいんとがこっちに手をのばして阻止しようとした。
...でも、ゾムに捕まった状態で、手が届くことはなく。
...日常国で解放された後。
元々持っていた持ち物を返された私。
つまり...
隠し持っているナイフを手で握り、
首元に当てた。
生暖かい血が首を伝う。
...切れ味いいな、このナイフ。
そう思いながらも首スレスレに近づける。
そんな時放たれた言葉は予想外の言葉だった。
...やっぱりこの人には敵わない。
私が死んだって何も変わらないのか...
なら...一か八か。
そう言ってみても、一切動揺を見せないグルッペン。
でも...バレバレだ。
回りを見れば、動揺を隠しきれていない幹部が何人かいた。
...今度こそ動揺が隠しきれていないグルッペン。
黒魔術を使える国と、使えない国があるらしい。
もし使えるということがバレたら、使いかたによっては強味にも弱味にもなる。
...あ、やばい。
自分から言っておいて悲しくなりそう。
本当はここで話をとめるはずが、感情に突き動かされて口は止まらない。
ナイフを首元から離し、持ち方を変えてゾムに飛びかかる。
柄の部分をぶつけようとしたが、思っていた通りに避けられる。
咄嗟に離してしまったのか、突き飛ばされるようにしてゾムから解放されるぺいんと。
手を引きぺいんとを立ち上がらせ、大声で死神、トラゾー、クロノア、らっだぁに呼び掛けながら部屋を飛び出す。
後ろから着いてくる日常国幹部とら運営国王。
私に引っ張られながら情けない声で返すぺいんと。
死神達も近くで走って追いかけてきていた。
だが、そのさらに後ろには凄い勢いで迫ってくる我々だ国幹部達。
...特にゾム
...流石ともいえるフェイントでゾムから逃げる死神。
その声の方向を見れば、走って逃げるトラゾーに、壁を走るクロノア...って
いや、そんな普通な顔で言えることじゃないそれ!!
またまた声の方向を向けば...
まさかのマフラーに運ばれてる!?
え、なにこれ怖い
なんなんだこの人達...
そんな会話をしていれば、ゾムが幹部達にも目をくれずに私に向かって走ってきていた。
鬼のような形相で迫るゾム。
しまった...このままじゃ追い付かれ...!
するとゾムの体を赤マフラーが縛り付ける。
...!
ぐるぐる巻きにされたゾムが倒れる。
悔しそうに呟くその一言はすぐに後ろに遠ざかっていった。
でも...
...あぁ、悲しいな。
信用って聞いたとき、どれだけ嬉しかったか...
ぺいんとの顔を見て、そう思う。
後ろを振り返ってみると、もう我々だ国幹部達に捕まりかけているみんな。
...こうなったら。
ぺいんとを引っ張っていた手を離し、後ろに戻る。
驚いたのは我々だ国幹部も同じなようで。
後ろに戻る私を見て動きが止まりかけたようだった。
そして私は...
日常国の人達を後ろに、向かってきていた幹部達にぶつかっていった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!