私はそれだけ言って、2階に上がった
ガチャ
1人になってから、首にかかっていたハート型のロケットペンダントを眺める
幼かった頃の私と、
パパとママで写っている写真
アイリスもそこに写ってる
パパとママは共働きで、家に居ないことが多かった
私にとってはそれが当たり前だったから、なんとも思ってなかったけど
8歳位のとき
パパとママは出張先で伝染病にかかり、そのまま1週間も経たないうちにお星様になった
それからは、雇われていたメイドさんの大半は契約を切って家に帰って行った
辛くて、寂しくてしょうがなかった
周りで笑ってたあの人達の顔は二度と見られなくなった
パパとママと、もっと遊びたかったのに
メイドさんに、オムレツの作り方を教わってなかったのに
パパもママも、メイドさんも皆
一瞬でいなくなった
そっか、
結局はみんないなくなっちゃうのね
ヘリンオンニもフィジオンニも
Mオンニも
少ししたらいなくなっちゃうのね
だから、
もう寂しくならないように
アイリスとずっと一緒に居る事にしたの
でもね、
それじゃダメだった
心の底で、ずっと「寂しい」って思ってた
私がずっと1人ぼっちのような気がした
その気持ちをアイリスで紛らわしてたから、
いつしか私にとってアイリスは
「気持ちを吐き出すところ」
になっていた
なんでも打ち明けられる、私の化身のような存在
気が付けば依存してた
アイリスがいなかったら、私は1人ぼっちで辛さに耐えなきゃいけない
アイリスがいなかったら、私は1人ぼっちで死んでいかなきゃ行けない
そんなのが嫌で、
片時も離さないの
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。