第6話

「始まりの終わり。」
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2018/03/27 04:09
千里の話が終わり、
待っていたかのように電話がかかってきた。
なる
お母さん…?
千里
出ろよ。
なる
でも…私は千里と…
千里
それは無理なんだ。
お前は帰るんだよ。
千里
でろ。
千里の目はまっすぐに私を見つめていた。
なる
………っ。もしもし、お母さん?
なるのお母さん
もしもし…じゃないわよ!
春休みに入ったからって
朝から深夜になるまで連絡もなにも
よこさないなんて、どういうこと!?
今、どこにいるのっ!?
なる
え?朝から深夜?
お母さん、私がいなくなってから
1日もたってないの?
なるのお母さん
はぁ?うちの子は頭まで
おかしくなったのかしらー。
もう、心配したんだからね。
なる
ごめん。
友達…の家にいる。
話し込んでて…ごめんね。
今日はとりあえずお泊まりするから
また。
なるのお母さん
お泊まりするなら、
そう連絡をいれてちょうだい。
友達や友達の家族さんにも
迷惑をかけずにね。
なる
うん、ありがとう。
分かってる。
またね。
なるのお母さん
はーい。
お母さんとの連絡が切れた。
なる
千里、私と千里がいなくなってから
こっちじゃ1ヶ月たってるのに、
お母さんがいる、世界では
1日もたってないよ?
どういうこと?
千里
たぶん、狭間の世界と
あっちの世界とじゃ時間の進みが
全然…違ってるんだな…。
よかった…なるの生活に
そこまでの影響がなくて……
なる
千里…。
なる
でもどうしたら
元の世界に帰れるんだろう…。
千里
簡単なんだ。
狭間の世界には
教会が1つだけあるんだけど
そこに願えば願い事が1つだけ叶う。

俺はなるに
触れたいって願ったから…。
触れたい………。
顔か急に赤くなるのが分かった。
なる
//////////
千里
ごめんな、帰れる方法あったのに
黙ってて。
なる
それは、もうこの際良いの。
私だけ千里の大きくなった姿見れて
ラッキーでした!で
おさめてあげる。
千里
ははっありがと
なる
ん。
千里
あのさ、最後に
行きたいところあるんだけど
良いか?
なる
最後…か。
もちろん良いよ!
どこまでも、お供します。
千里
行くぞ
なる
うん!
千里は私の手をひいて走り始めた。
今日の朝までは
早く帰りたい…とばかり、思ってたけど
今はできるだけ長く千里といたい…。
千里
ここ。
丘を反対側に下り、
すこし森の奥へと進むと開けた場所に出た。
なる
きれーーーー!!!
そこには色とりどりのお花たちが
咲き誇っていた。
千里
俺の取っておきの場所!!
お前と来たかった場所。
なる
ありがとう。
千里
ほんとにごめんな。
巻き込んで。
なる
そんなことはないよ。
千里も私に会いたいって
願ってくれてたんだろうけど
私も同じくらい千里に会いたいって
願ってたから。

千里は私の願いを
叶えてくれたんだよ。
千里
好きだ…
なる
えっ?どうしたの突然、
なる
私と千里は兄弟で…
千里
血は繋がってない。
しかも、中学生の思春期の俺に
お姉さんができて、素直に
お姉さんだとは思わなかったよ。

俺の好きな人になった。
なる
/////////
なる
兄弟だから…って思って
お姉ちゃんとして過ごそうと思って…
好きって言っても良かったのかもね。

あーーーーあ。
千里が生きているときに
伝えておけばよかった。



私も好きだよ。
出会ったときからずっと。
千里
まじか……/////
俺って幸せすぎだよなぁ!!!!!
なる
私も千里に想ってもらえるなんて
幸せ者です。
千里
よかった…。最後になるに会えて。
なる
最後か……。
私たちにとっては始まりなのにね。
千里
ごめんな、俺が体が弱かったから…。
なる
ううん。千里が体が弱かったから
そのぶん私たち家族は
より近い存在になれたし、
千里にも出会えたし、ね?
千里
そっか。
最後だなんて思いたくないけど
これが最後。千里の顔を見ることはない…
私の目から涙が溢れてきた。
千里
教会、行くか。
千里はそっと言った。
なる
うん……っ
教会へと向かうとき…
千里は私の手を握ってくれていた。
あたたかい…。
大好きで…大切な人の手。
千里
ここだよ。
なる
花畑も町も千里の家も教会も、
あの丘に近いんだね。
千里
そうだな。
あの丘は…あの木は…
この世界の中心にあるんだよ。
なる
中心で出会うなんて運命的だね、笑
なる
それに……
この教会、綺麗ーー……
千里
そうだなー


泣くなよ、なる。
なる
好きって伝えて…好きなのに…
大切なのに……
最後なんて嫌だよ…………っ!!
千里
なる、知ってるか?
人間の魂ってどこか繋がっていて
また、巡り会える。
ずっとずっと繋がってるんだ。
なる
うん、うん……っ
千里
願え、なる。
なる
嫌だ!
なる
嫌だよ……っ
私の口を塞ぐように
千里の柔らかい唇が私の口と重なった。
なる
っん!!/////
千里
好きだ。ずっと。永遠に。
なる
結婚式みたいだね…
千里
手を出せ…。
そういうと千里は私の手をとり、
左手の薬指に指輪をはめた。
なる
これっ!!!!
千里
俺が作った指輪。頼まれてただろ。
なる
結婚式…じゃんか……////
千里
魂はずっと繋がっている。
そしてこの世界となるのいた世界とは
時間のずれがある。

もし俺が生まれ変わって
お前と再び会うことができたならば…

現実にするから。
なる
うん、そうだね。ありがとう。
千里
さぁ、願え。なる。
帰りたいと。
なる
分かった。
私が願うと世界は輝き始めて
どんどん薄くなっていく…
隣を見るとなるは優しく微笑んでくれている。
千里
好きだ。ずっと。ずっと。
最後の最後まで

千里は私の手を握ってくれていた。

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