第3話

「違和感の中の幸せ。」
69
2018/03/21 11:32
千里
出かけるぞ。
なる
どしたの?突然。
千里
最近働いてばっかだったし、
気分転換にでもどうかなっと。
嫌?
なる
そういうことなら、よろこんで!
ありがとうっ千里!!
千里
別に。じゃあ、行こ。
なる
うん!
町の男の人
おぉーー千里くん。
久しぶりだね。
また店にこもってたのかい?
千里
えぇまぁ。
町の男の人
こもってばっかじゃ体に悪いよ。
それにしてもこのお嬢さんは
彼女かい??
千里
違います。
即答…まぁそうなんだけど…。
なんかなぁ…もやっと、こう……
町の男の人
まぁ、ここじゃ、
彼女さんは、できないよなぁ、笑
できても、どうするってもんだし。
千里
まぁそうですよね。
おじさんは、そろそろなんですか?
町の男の人
そうだな。じきにって感じか。
千里
そうですか。
良かったです。
町の男の人
おうっお前も元気でな!
お嬢さんも!!
お嬢さんは…なぜか“違う”みたいだが
元気で過ごせよ。
思う存分今を楽しめ。
なる
はっはい!!
千里
それでは失礼します。
町の男の人
あぁ、ありがとな。
なる
ねぇ、千里。“違う”ってなに。
千里
お前が可愛いから?若いから?
まぁ気にすんな。
特に深い意味はないさ。
なる
可愛いって……
千里って無自覚に
こういうこと言うよね!!!
千里
はぁ?それいうならお前も無自覚だ。
なる
なにがっ!!
まぁ…“違う”に
深い意味がないならいいけど…。
千里は相変わらず無自覚でやばい/////けど。
ちょくちょく私だけ
話が噛み合ってない気がするのは
気のせいかな…。
千里
口をあけろ。
なる
んっなに突然…っ
んぐっんんん
千里
飴。
なる
おいひいい
千里
ここの飴はうまいんだよ。
よし、どんどん店まわるぞ。
楽しめ。
なる
うん、ありがとう!
こうしていると忘れるけど
私って記憶喪失でイコール行方不明で……
でもたまに、このまま千里といても良いかな…
って思う自分がいることが怖い…。


千里も私の家族を探してくれてるし、
私も週末は色々探したりしてるし……
見つかる…よね。
千里
あっこれ、お前に似合うんじゃね?
なる
どれどれ?
そういって千里が見せてきたのは
蝶々のネックレスだった。
なる
確かに綺麗!!
でも似合うかな…
千里
似合うだろ。
千里
買ってくる。
なる
まってよ!いいって!
てか…せっかく千里から貰うんなら
千里の作ったのが良いし…

あっごめん!わがままなんか…
図々しいよね。ごめんっ、!
千里
………
なる
千里……?
下を向いた千里の顔を覗くと
顔が真っ赤になっていた。
なる
千里っ!?
千里
あんま、こっちみんな…。
俺のが良いとか…
お前本当に無自覚。
なる
なにそれっ!?
千里
無自覚無自覚無自覚
なる
はぁ!!!?
千里
まぁ…そのうちな
なる
なんて!?
千里
そのうち作ってやる。
なる
え!
千里
ほしいんだろ?
なる
いいの!?ありがとうっ!
楽しみ!!
千里
あぁ。
千里といると不安な心もなくなって
本当に幸せ……。
このままでも良いかも…なんて、ね。
千里
ダメだぞ。それはダメだ。
千里がまっすぐ私を見てそう言った。
まるで見透かしているかのように。
なる
なっなにいってんの?
ていうか何のとこだし。
ほら!いこ!
千里
あぁ、そうだな。
千里…におばあちゃんに町の人たち。
私は“違う”…って…
記憶喪失でわからないことだらけなのに
何か噛み合ってない気がする。
何なんだろ…
千里
お前は笑顔でいろ。
笑って人に優しくしていれば
いつか自分に帰ってくる。
見返りを求める、
笑顔や優しさだけじゃダメだけどな。
なる
千里って、エスパーかなにか?
千里
かもな、
なる
なにそれ?笑
しばらくはここで千里と過ごせる。
でも、その先は?
私の記憶に家族は?
どうなるんだろ…どうするんだろ……。

千里
今日は、疲れたか?
家に帰って千里が声をかけてくれた。
なる
ううん!全然!
美味しいものをたくさん食べれたし
千里にアクセサリーを
つくってもらえることになったし!
幸せすぎです!
本当にありがとう!!
千里
それは、よかった。
今日はもう休め。

じゃあな。お休み。
なる
うん!ありがと
2階の部屋に戻りベットに腰をかけた。
なる
もう9:00かぁ~…
町の人たちと初めてよく喋ったけど
やっぱりなにか違和感を感じる…。
千里とだってたまに話が噛み合わないし…。

なんか、きゅうに寂しくなってきたな…
世界でたった一人…一人ぼっち、な気がする。

なる
はぁ……あれから何日たったんだろ…
そういえばカレンダーないし…。
千里に聞いておかないとね。
お風呂に入っている間も
ずっとなにか寂しさを感じる。
どうすれば良いのか分からない、もどかしさ。
なる
私は一人ぼっちなのかな…
なる
家族は…心配してるのかな…
寝る時間になっても一向に眠れない。
家族や記憶のことに町の人たちの
不思議な言葉のことが
頭のなかでぐるぐるとかけめぐる。
なる
なんか、あったかい飲み物を飲もう。
私は一階に下り、飲み物をつくり始めた。
千里
どうしたんだ?眠れない?
なる
あっごめん。起こしちゃった?
千里
いいや、今から寝るところだ。
なる
今、深夜の1時だよ?
寝るの遅いんだね。
千里
店の商品の制作があるからな。
こんなもんだよ。
なる
そっか。
千里
そんなことよりどしたの?
なる
えっ
千里
お前。なんか、顔がくらい。
なる
そうかな?たまたま、眠れないなぁ
ってなだけだよ。
千里
イス座れ。
話聞く。
なる
っ…
ありがとう…。
千里の顔を見るとなんか安心する。
私は今、自分が考えてることを
千里に話始めた。
千里
そっか…。まぁ今までのお前が
なにも考えてなかっただけで
このぐらい考えるし、
寂しくなるのは普通だろ。
だが、俺がいる。
お前は一人ぼっちなんかじゃないし
悩んだら話せ。
なる
ありがとう。
千里の言葉に安心したのか……
涙が溢れてきた。
千里
ごめんな…。
なる
なんで、千里が謝るの?
千里
…………。
千里
寝れるか?
なる
…どうかな。
千里
よし、こい俺の部屋。
寝れるまで俺が起きててやる。
なる
えっ!?////////
一緒に寝るってこと……デスカ…?
千里
あぁ、嫌なら一人で寝ろ。
なる
嫌っじゃないし……///
一緒に寝る。
ありがと。
千里
ん、ほら行くぞ。
私の手を引っ張って千里は部屋に向かっていく。
千里
(少しは断るとか
嫌がるそぶりをみせろよな…)
千里
(あと…すこしだけ…。
こいつと居させてくれ…神様。)
ベットで私を寝かせてくれて
千里はソファーで寝ていた。

私が眠るまでたくさんお話してくれて
記憶がなくなって初めて
安心して寝ることができた。
千里
寝たか…
ごめんな、なる。
俺のせいでお前は……
あとすこし、あとすこしだけ
俺のわがままつきあってくれ……。
千里
好きだ。
今も“昔も”これからだって。
ずっと

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