誰もがこの状況を受け入れることはできず、戸惑い、しんと静まり返ってしまった。
当たり前だろう。私だってこんなことが現実で起こりうるなんて考えたことは一度もない。
それも自分が毎日通っている学校でなんて…。
「しょ、職員室に行こうよ?」
思い切ってそう提案するものの、みんなは俯いて目を泳がせた。
「俺らさ、この時間この場所にいること自体いけないことなのに、こんな状況で空だって本の中に閉じ込められてさ、なんて説明すればいいわけ?」
「彼方…」
違う、彼方違うよ。
今はそんなことを言っている場合じゃ無い。私たちでどうにかしようとするんじゃなくて大人に助けを求目なきゃいけない。
傷付けることが怖くて口に出すことを躊躇ってしまう言葉が頭の中で次々と浮かぶ。
私が動かなきゃいけないとわかっているはずなのに何もできない。
突然誰かの手が肩に乗せられた。
「静華、私がついてく。行こうよ」
「沙耶香…」
沙耶香はゆるりとした表情で私の目をしっかりと見つめた。
そうだ、沙耶香はいつだって私が考えていることを見抜いて一番に寄り添ってくれる。いつも沙耶香に頼ってばかりで自分は何もできない。
一瞬の安心とともに悔しさが込み上げてくる。
「沙耶香、大丈夫だよ。私1人で行くから」
俯いたまま髪で顔を隠しながらそう伝える。
こんな表情見せられないから…。
それだけ言うと私は慌ただしく図書室から出ていき廊下を突っ走り職員室へ向かった。
「おい静華‼︎」
彼方の声が聞こえる。でも無視しなきゃ…。
『ほら、大好きな彼方君が呼んでるよ?』
「…ッ⁉︎」
誰?