“ボーン”
“ボーン”…
昔々あるところに、それは美しい女性がいました。
その美しさに見惚れた王子様は、彼女を王城へ招きました。
『私と結婚して王女にならないか?』
彼女は断りました。
王子様はあらゆる手段を取って彼女を振り向かせようとしました。
美しいドレスをプレゼントしたり
美味しい料理をご馳走したり
ある時は宝石を彼女の家に届けたり…
けれど何をしても彼女は振り向きませんでした。
彼女は隣国の王子様に恋心を抱いていたからです。
それを知ったこの国の王子様は、隣国の王子様を殺害してしまいました。
彼女は毎日毎日泣き続け、王子様を憎みました。
そしてしばらくの月日が経ち、彼女は王女になることを決めました。
周りの人は、2人がお互いを愛し合って毎日幸せに暮らしているように見えました。
王城の中は皆寝静まり、静かな夜のことでした。
突然ロビーの柱時計が音を出してなり始めました。
その晩、彼女は王子様を殺しました。
それからというもの、彼女は姿を消し行方不明なまま今ですら見つかってはいないそうです。
実際彼女は既にこの世には居ないでしょう
それでも彼女は、時計が鳴った時だけこの世界にやってきて
愛する人を殺される苦しみを広めているそうです。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!