第58話

第18話 その3
60
2021/05/19 08:03
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして土曜日を迎え、私は恭平くんと一緒にカラオケにやって来た。今日は私の家の最寄り駅の方まで恭平くんが来てくれているのだ。

恭平くんは歌が上手いので、なんだか聴き惚れてしまう。

……そういえば、鈴木くんとカラオケには来た事なかったな。


って、また鈴木くんのこと思い出して。


ホント、嫌になる。


どうやったら鈴木くんの事を忘れられるんだろう。

あぁ、私は本当に失礼な奴だ。私は今恭平くんとカラオケで楽しんでいる最中なんだから、今は恭平くんの事だけを考えていれば良いんだ。


しばらくして、


「里奈ちゃん、ちょっとトイレ行ってくるね」

と言って、一度恭平くんが部屋を退出した。恭平くんはスマホを持って行かずに部屋を出たので、彼のスマホは今、テーブルの上にある。私がデンモクで次に歌う曲を選んでいる時にこんな事が起きた。


テーブルの上の恭平くんのスマホの画面が光った。それが視界に入ってきたので、私は無意識にスマホの画面をチラッと見てしまった。

スマホが光った理由、それは、






鈴木くんからのLINEが届いたからだったのだ。






本当は文なんて見ちゃいけないのを分かってるのに、私はつい気になって見てしまった。

そこにはこんな事が書かれていた。






「お前、ドジ田からいつの間に下の名前で呼ばれてんの?」







私絡みの内容だった事に驚いた私は、ふいに口を押えて息を飲んだ。

鈴木くんが、私と恭平くんの関係を気にしてるっていう風にも取れるこの文。
それは私の自惚れかもしれないけど、ちょっと嬉しかった。

鈴木くんが恭平くんにLINEを送ってきたのは今。私はデンモクをテーブルに置き、自分のスマホをカバンから出した。

今、私が鈴木くんにLINEを送ったら、鈴木くんはすぐに見て私にLINEの返事をくれるかな?という、甘い考えが頭を過ぎってしまったのだ。


「鈴木くん……」



でも、送ったのに返って来ない可能性だって充分にあった。送るか送らないかの判断に迷う私。それに早くしないと恭平くんが帰って来てしまう。送るか送らないか、今決めないと。

一先ず私は、鈴木くんのLINEのトーク画面を開いた。でも勇気が出せず、これ以上は指を動かせなかった。その後、ドアの前に人影が。
恭平くんが帰って来たのだ。なので私は慌ててスマホをガウチョのポケットに入れては、急いでデンモクに持ち替えた。

「…な、何歌おうかな……」

少しの間、その動揺が取れることはなかった。

それから少しして、今度は私がトイレに行くと言って退出した時に、ガウチョのポケットからスマホを取り出し、再度鈴木くんのLINEのトーク画面とにらめっこをした。


最終的に私が下した結論はこれだ。










「鈴木くん、こんにちは!最近話せてなかったね……。今度、久しぶりにもち子ちゃんに会いたいんだけど、会いに行っても良いかな?」







というLINEを送信したのだ。






鈴木くんからの返事、来るかなぁ?






NEXT▷▶︎▷▶︎第19話 「壊したくない関係」

アンケート

鈴木からのLINEの返事は
来ると思う!
71%
来ないと思う!
29%
投票数: 17票

プリ小説オーディオドラマ