第89話

リクエスト企画 「鈴木の覚悟」前編
74
2021/06/01 11:24
リクエスト
えちえちなのみたい!!


……私に書けるかどうかは分かりません!!!!‪

なので苦手な方はリターンしてください……
でも胸きゅんする感じにはします!

時系列は2人が付き合いだして3ヶ月くらいが経った頃にしています!

※書いてる内に意外とちゃんとした話になってしまったので、今回は前編をアップします!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この間、和彩が私の家に遊びに来た。その時に彼氏とは順調かと尋ねられた。

「うん、今のところ順調だよ」

「そっかぁ!いやー、まさかあの般若と里奈が付き合ってるなんてねー!!いやぁ、本当に良かったね!」

和彩は高校の時に、私と彼をくっ付けようと動いてくれたことがあった。よく相談にも乗ってもらっていたので、付き合ったと報告した時はとても喜んでくれたのだ。

「ねぇ、般若は普段どんな感じなの?」

「え?」

「彼氏としてどんな感じに里奈に接してきてくれるの?」

和彩は私が出した紅茶を飲みながら、ウキウキして尋ねてきた。

「実は2人の時はめちゃくちゃ里奈にデレデレするとか」

「いやいや!!それは無い!!鈴木くんは至っていつも通りというか……」

と言うと、和彩は手を振りながら

「あぁ良いよ里奈、いつも通りに呼んでもらって。たーくんだっけ?拓ちゃん?ん?」

と言った。あぁ、この子ったら細かい所よく覚えてるなぁ。少し前に和彩と彼と私の3人で食事に行った時に聞いてただけだよね?

「よく覚えてんね」

ちなみに私は彼のことを「拓」と呼んだり「たーくん」と呼んだり、呼び方はいろいろあった。

「そりゃーね!そういう所はよく見てるからさ!」

そのまま椅子の上から落っこちてしまうんじゃないかと心配になるくらい動き、和彩は楽しそうにしていた。

「それで!?里奈に普段どんな感じなの!?」

和彩の質問攻めは止まらない。私はうーんと頭を捻らせて考えた。

「そうだなぁ……よく頭は撫でられる…かな?」

「えぇ!そうなんだ!!」

それから、前から少し気になっていた事を吐露してみた。

「なんかでも、若干ペット扱いされてるような気もする」

「ペット!?いやいや、ちゃんと女として見てるでしょ!」

「まぁ、だから付き合ってくれたんだとは思うけどさ、ほらやっぱり元々は動物好きの人だからさ、観点がちょっとズレてる可能性もあるじゃん?」

と言うと、和彩はこんな事を切り込んできた。

「いやいや、そんな事ないっしょ!ちなみに般若とはもう“した”?」

「へっ!?」

それを聞いて顔を赤くする私。

でも実は、彼と私はまだそういう事になっていなかったのだ。

それを和彩に言うと、

「はぁ!?マジで!?般若どんだけ純粋なのよ!!」

と返ってきた。でも彼は実を言うとまだ女性とのそういう経験をしたことが無いみたいなのだ。過去に1度も彼女が出来たことが無いと言っていたので、私はそうだと踏んでいた。

でも和彩は言った。

「いや、分かんないよ?男なんて遊びたい本能がある生き物なんだからさ、実は経験あるかもよ?例えば合コンで会った女の子とやってましたとかさ。同じ大学の子と2人で飲み行った帰りにそういう事になったとかさー」

拓に限ってそんなことはないだろうと思った私は、

「ないないないない!彼に限ってはないと思う!!」

と返すも、

「分かんないじゃん。里奈に言ってないだけかもよ?」

と言われてしまった。

まぁでも、そうだよな。彼だって男性だし、歳も23歳だ。そういう事を済ましていてもおかしくない年齢だ。

和彩の言う通り、女性ともう経験済なんだろうか……。

ちなみに私はというと、初めては20歳の時。友達伝いで知り合った、見掛け倒しのだらしない男と付き合っていた時の事だ。その彼が私の初めての人だったと思うと、なんか嫌だ。
ちなみにその次の年上と付き合った時は、ホテルに連れていかれたものの、半ば強引な感じだったのが嫌で、これ以上は出来ないと私が拒否った為、最後までしたことはなかったのだ。……だから浮気をされたのかも?

まぁ、今となってはそんなことはもうどうでも良かった。

「じゃあ和彩、彼は私を女性として見てないから手を出してこないって事なのかな?」

「いやぁ……そこなんだよなぁ。あくまで私の今の話だって推測だしね。単純に童貞だから手の出し方が分かんないだけって可能性も有り得るよねー」

「わぁ……どっちなんだろう」



そんな事があっての後日。私は彼の家に遊びにやって来た。

拓は土日休み。私は不定期休みだけど、今週は土曜日休みなのが被ったので、金曜日の夜に泊まりに行くことになっていたのだ。

「仕事お疲れ様」

「たーくんこそお疲れ様!」

家に入ると、美味しそうな匂いが。

「わあ!今日は中華だ!」

キッチンをみると青椒肉絲と卵スープ。それから奥のコンロにもう1個フライパンが。

「餃子だ!」

「あぁ。こっちは冷凍もんだけどな。さすがに仕事帰りに1から餃子は……」

「えぇ、全然良いよ!」

「そうか?あぁ、ニンニクは無いタイプだとさ」

すると彼からヘルプ信号が。

「あ、丁度良かった。助けて欲しいんだ」

「ん?」

「餃子、上手く剥がせないんだ。フライパンが悪いのかもしれないけど。もう少しで焼き上がるから里奈、それだけやって貰えないか?」

という頼みだったので、それを引き受けた私は荷物を置いた後に濡れ布巾を用意した。

「……え?何するんだ?」

「見ててー?」


焼き終えた餃子の入ったフライパンの底を、すぐさまその濡れ布巾で冷やした。

ジョーーーー!!!という激しい音がする。

「へ?」

彼は眉をひそめた。

「こうするとね、スルンといけるんですよ〜」

彼はこのテクニックを知らなかったようだ。
なので綺麗に盛り付けがいった時に、

「凄い……。知らなかった」

と驚いていた。

「さすがクッキングスタジオのスタッフ」

「いやいや!でも、簡単でしょう?」

「あぁ。音にはビックリしたけどな」

「ふふっ、さっきちょっと音でビクってなってたでしょ」

と私が笑うと、

「おい、バカにすんなよ」

と彼は照れ笑いをする。

「バカにしてないよ!可愛いなって思っただけ」

「このやろ!こうしてやる!!」

拓は私の髪をワシャワシャとしてきた。

「ちょっと!やめてよ!!ボサボサになる!!ぎゃー!!」

私も手を出し抵抗するが、彼はそんな私を面白がって笑い出す。

「サイテーー!!」




それから食事を終え、お風呂を借りた。

今日は和彩とも話し、可愛いパジャマを持ってきた。いつも泊まりの時は、パステルカラーのスウェットばかりを着ていた私が、突然ショーパンモコモコのパジャマを着ているところを見たら、彼はどう思うかな?


でも、そこはさすが彼です。


いくら高校生の時よりも愛嬌やコミュニケーションスキルがパワーアップしたとはいえ、鈍感な点は変わっていない。

一緒にソファーに座ってお酒を飲みながらテレビを見ていても、特に何も言ってくれない。

今日はいつもと違うねとか、何か一言あっても良くない!?やっぱり私は女じゃなくてペットとして見られてる!?

番組が終わった後に、唇を尖らして彼の方に押し寄せて聞いてみた。

「ねぇ、今日の私見て何か思わない??」

「……え?」

チャックを下ろし気味にしている為、ずり落ちて肩の素肌がチラッと見えている状態になっている私。しかも、キャミソールから多分胸の谷間も見えてる……はず。それでいてショーパン。男の人ってこういうの見たら何かしらそそられないかな?

いや、胸はそんなに大きくないから谷間は出来ない……か?いや、それにしたってちょっとでもその気になってくれたら嬉しい。でも拓は、

「お前、風邪引くぞ?」

と言って袖を摘んでグイッと上にあげ、出ていた肩の素肌を隠した。

「ふん!もういい!!」

「はっ!?」

結局拓はこの日、何もしてこなかった。



それを後日和彩に会った時に話すと、

「えぇ…ダメか……」

と、和彩もお手上げの様子。

「ごめんね里奈、般若の事はイマイチ読めないわ……」

「ううん、大丈夫。なんか後々その時の自分のしたことを思い返して、酔ってたとはいえキモイことしたなぁって後悔してるんだよね」

「そんな事ないよ!てか、般若マジなんなの!?里奈が大胆な事したのに風邪引くぞで終わりはないだろ!!里奈がどんな思いでその行動に出たと思ってんだよ!って感じ!!!!」

と、和彩は拓にお怒りモードだ。

あの日以来、「彼氏 エッチ 誘い方」なんて検索してサイトを見に行ったりしていた私だけど、だいたい共通して書かれていたのは、

「女から積極的に行き過ぎると男は引く」

で、あと書いてあったのは、

「正直にしたいと伝えましょう」


って書いてあった。

それを和彩に言うと、

「そっか……今思ったんだけど、里奈はそもそも、般若とそういう事がしたいんだっけ?」

と返ってきた。

「え?」

「元々はさ、女として見てもらえてるかどうかが不安で、こういう話になったんだったよね?」

そうだ。拓としたいからこういう話になったわけではなかった。

私はただ、ちゃんと拓が私の事を女として見てくれているのかを知りたかっただけなのだ。

「うん」

「それならさ、それを素直に聞いてみれば?」


そうだ。鈍感な彼にそもそもまどろっこしいものなんて通用しないし、そんな行動はいらなかったんだ。




なので私は後日彼の家に泊まりに行った時に聞いてみる事にした。


私がお風呂から出て、今は彼がお風呂に入っている。

よし、出てきたらちゃんと聞こう。

「拓……私の事……女として見てる?」

と、1人で小さく呟いて予習をする私だけど、言葉はこれで良いのかな?
もう一度検索して調べてみよう。そう思ってスマホを……


あれ?


スマホどこ置いたっけ。


私は記憶を辿り出す。……分かった。もしかしたら洗面所の洗濯機の上に置いたままだったかも!?
私は早足で洗面所の前の閉まった引き戸までやって来た。鈴木くんは入って10分くらい。まだ出て来ないだろうと思って中にそろっと入り、スマホを見つけて手に取った。





ガチャ……








「……ん?」




私の左から手が伸びてきた。




その手は洗濯機の上の棚に乗っている詰め替え用のボディーソープを取ろうとしていて……






え??











「ぎゃー!!!!!!!!!!!」
「あ゛ああああ!!!!!!!!」












こんな形で拓の全裸を見てしまう事になるとは。



私は動揺が隠せず、何を思ったか慌てて冷蔵庫から缶チューハイを取り出し、ソファーに座って思いっきりそれを飲んだ。

私の目は見開いたまま。


心臓はバクバクで、


なんか変な汗までかいてきた。


どうしよう、拓にこの後なんて言われるかな?怒られる?いや、なんで怒る!?……ん?怒るのは普通か?
でも私達は付き合ってるんだよ?見られても減るような相手じゃ……いや、でも逆の立場だったら私、怒ってるかもしれない!?

あああ、和彩助けてーー!!!!

なんて頭を抱えて考えながら缶チューハイをクビグビと飲んでいたら、あっという間に1缶空になっていた。


だ、ダメだ!!これ以上飲んだら私、酔っ払ってまともに拓と話出来なくなっちゃう!!!!何やってんだ!!!!本能的に忘れようとでも思ったのか!?

私は慌ててまた冷蔵庫に戻り、開けて今度はお茶を取り出して乱暴にコップの中に入れてグイッと飲み干した。

もう、私ったら何やってんだ。

そうこうしている間に……



ガラガラ






拓がお風呂から出てきてしまった。


スウェット姿の彼は、タオルで髪を拭きながら、


「ご、ごめん。スマホあんの気付けなくて」

と、そっちを謝ってきた。

「わ、わわわわ私こそすいませんでした!!」

とりあえず咄嗟に私はそう伝えて頭を深々と下げた。

「いや……俺こそみっともないもん見せて申し訳ない」

拓まで頭を下げてくるもんだから、

「みっともないなんてそんな…」

と言って切り込んだ。でもその時脳裏にはさっき見た彼の裸が……


彼は逞しい体をしていた。

腹筋も割れてて、

胸板だって厚くて、

でも足は案外細めで……












…………あそこは…………………










あああ!!!じゃなくて!!!!私が頭を横に振っていると拓は、


「里奈、もう良い。この話は終わりにしよう」

と言って、めちゃくちゃ瞬きをしながら腕を組んでソファーにどかっと座った。それから私がテーブルに置きっぱなしにしていた空の缶を手に取り、

「な、なんだ、酒飲んでたのか?俺ももらおうかな……あぁ、何あったか見てくれ」

と尋ねてきた。


この話を終わりに?


いや、ここで終わらせてはいけない気がする。


このままでは、ずっと先に進めない気がする!



私は慌てて拓のいるソファーに行き、隣に座って拓のことを抱きしめ、

「待って。終わらせちゃイヤ!」

と伝えた。


「え?」


そのまま私は続けた。




「ねぇ、たーくん。たーくんは……私の事女として見てくれてる?」


と聞くと、彼は眉をひそめた。

「……は?君は今更何を言ってるんだ」

「え……?」

なんでそんな反応をするの?その反応の仕方が私の心をより不安にさせた。

「変な事言うなよ。全く。俺は男で、里奈は女じゃないか」

そうじゃない。


そんな、生物学上の話をしたいんじゃない!!

私は彼の言葉を封じるかのように、熱いキスをした。


そしたら彼はそんな私を自分から放して、

「里奈、どうした?」

と聞いてきた。なので私は彼にこう尋ね返した。

「ねぇ……たーくんは私の事好き?」

すると彼は、

「あぁ。好きだ」

と迷いなく返してきた。

「じゃあ、私のどこが好き??」

それを聞いて彼は、

「え?里奈、どうした?なんだ?俺が里奈の事を本当に好きなのか疑ってるっていうのか?」

と言って私の両肩を掴んできた。

「そうじゃない。私は……たーくんが私の事を女として意識してくれているかが知りたかっただけ!だから聞いたの。私のどこが好き?って!!」

私は大きめの声でそう返すと、彼は私の目を見てこんな事を言ってくれた。

「俺は、里奈のそういう真っ直ぐものを言ってくれる所、明るくて素直で、自分に嘘がない所、料理を仕事にしたいって言っててそれを本当に叶えた実現力の高い所、何事にも一生懸命取り組む姿勢。俺は、里奈のそういう所に惹かれた。それに……これは初めて言うけど……、里奈の顔……実はめちゃくちゃタイプなんだ」

は、はあ!?はい!!??

私はその言葉に目を見開いた。

「そもそも俺は……ショートよりロングヘア派なんだ。背も……低い子の方が俺は好きで……。里奈の身長も丁度良くて可愛い。髪を耳にかける仕草も好きだし、笑顔が可愛い。華奢で、綺麗な手をしてて……」

と言って私の手を取る彼。


「だから、里奈といる時だけは、魔法にかけられたような気分になる」

「え……!?」

彼に見つめられ、ドキドキする私。彼は続けた。

「つまり……それだけ里奈に女性としての魅力を感じてるって事だよ」

「じゃあ……私は別に、たーくんにペット的な目線で見られてる訳じゃないの……??」

と言うと彼はフッと吹き出して、

「確かにそうだな、お前は小動物みたいな所があるよな」

と言って頭を撫でだした。

「あぁ……!!私はたーくんのペットじゃない!!私はたーくんの彼女なの!!」

と怒ると、彼は優しくキスをしてくれた。

「里奈は魅力ある女性だよ。初めてなんだ。こんなに人を好きになるのは」

「え……」

「本当に女性になんて慣れてないし、遊んだ事すらないから、俺には何もノウハウが無いんだ。どうやったら女性が喜ぶとか、何を言われたら女性が傷付くとか、そういう世間一般論を知らない。でも今の俺にとって大事なのはそういう世の女性の一般論を知ることじゃなくて、里奈の事をもっと知ることなんだ」

熱い眼差しで伝えてくれたその言葉に私は感銘を受けた。

「たーくん……」

「だから里奈、何か俺に不甲斐ない所があったらすぐに言ってくれ。ちゃんと直すところは直すし、里奈を不安にさせるような事はしないから」

と言う拓の目はとても真剣そのものだった。

良かった。ちゃんと拓は私のことを女として見てくれていたんだ。それが知れた事がとても嬉しい。

「拓、ありがとう。拓こそ私に思う節があったらなんでも言ってね!そうやってもっとお互いの事を知っていって、ずっと一緒に居続けられるような関係になろうね!」

拓は安心したように首を縦に振り、私に微笑んでくれた。

そして、








「里奈、愛してる」










と言ってもらえた。

愛してるだなんて、初めて言われた。

「え……ごめん。すごく照れるそれ……」

彼は私のことをガバッと抱きしめて、

「バカ。俺の方が照れてる」

と言った。

それから私達は長くキスをし、そのままゆっくり拓が後ろに倒れ、私が拓を押し倒しているような状況が生まれた。

なんとなくそういう雰囲気になり、私の心の中に「拓としたい」という欲が生まれた。

そこで私は勇気を持って、



「……拓、したい」



と伝えた。


鈍感な彼も、さすがにこれには勘づいたようで、


「ま……待ってくれ」



と言って飛び起きた。




「……え?」







何を言うかと思えば、







「……すまん…………それは………また今度でもいいか?」










それは、断りの言葉だった。





「…………ん?………………えええええええ!!??」








後半に続く‼️‼️

プリ小説オーディオドラマ