第96話

「希美先生の1日」
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2021/06/17 08:37
こんにちは!

「私はうさぎ以下ですか!?」シリーズ
最後の更新は、希美先生の1日!

里奈の友達である佐山希美。
希美は乙守高校卒業後、保育科の大学に進んでいて、実は幼稚園の先生になったのです!

そんな希美先生視点の、子供達のお話です!

里奈と鈴木の子供が見たい!!と
リクエスト頂き書くことになりましたが
私自身子供がそこまで得意じゃないので
可愛く書けるかとても心配ですが、
甘めに見てやってください……

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「希美先生!一緒に滑り台しよー!」

「ダメー!希美先生はボクと砂遊びするのー!!」

高校卒業後、保育科の大学を出て幼稚園の先生になった私。ありがたい事に園児からモテモテだった。

特に私の事を好いてくれているのは、

「希美先生はボクのものだー!!」

颯馬くんと言う、年長の男の子だ。私の担当するイチゴ組の園児だ。

「颯馬くん、先に涼太くんから声をかけてもらったから、その次でも良いかな?順番は守らないと!」

ちなみに、涼太くんも同じイチゴ組だ。

「えぇ……そうなの??すぐ来てくれる?」

と、ふくれっ面になる颯馬くん。

「大丈夫だよ。待っててね!」

私はそう言って颯馬くんの頭をヨシヨシと撫でた。

「はぁい」

その時、私達の近くに蜂が飛んできた。

「わぁ!蜂だぁ!」

と涼太くん。私も大人ながら虫が苦手なので、

「わっ!」

と一声。すると颯馬くんが、

「やい!来るな!希美先生はボクが助けるぞ!」

と言って、下に落ちていた木の枝で蜂を退治しようとした。

「颯馬くん危ない!蜂さんに攻撃しちゃダメ!じっとしてないと!」

私は颯馬くんを抱き寄せ、蜂から距離を取った。

「蜂さんはね、攻撃してきた相手を敵だと思うから、颯馬くんがチクって刺される事になっちゃうんだよ!それに、蜂さんは何も悪くないのに、攻撃したら可哀想だよ?」

颯馬くんにきちんと説明したけど、

「先生にかっこいい所見せたかったのに……」

と、しょんぼりしてしまった。

「でも、気持ちは嬉しかったよ!ありがとう」

彼に笑顔を向けると、ぱあっと一気に表情が明るくなった。

「うん!」

その時、今度は園庭の別の所で女の子が泣いている声が聞こえてきた。それを聞いた颯馬くんは、その子の方を見ていきなり走り出した。

「颯馬くん!?」

追いかけて行くと、何かと思えば

「えーーん!!痛いよー!!えーーーん!!!!」

泣いているのは、颯馬くんの妹である、年少さんの里茉ちゃんだったのだ。

「里茉!大丈夫??」

「お兄ちゃん!!痛いよー!!わあああん!!!!」

「よーし!!お兄ちゃんが今、おまじないする!痛いの痛いのーー飛んで行けー!!!!」

里茉ちゃんの為に、颯馬くんは何度もそうやっておまじないを掛け、

「希美せんせーい!!!!」

と声を上げた。そこへ私も駆けつけ、

「あらあら!大丈夫!?立てる?まずは水道で洗おうね」

砂遊びの約束をした涼太くんには待っててもらい、私は里茉ちゃんの手当を優先させた。そこへちゃんと颯馬くんも着いてきてくれていて、

「里茉、大丈夫??」

とずっと横から声をかけ続けていた。

水道で怪我した所を洗って消毒をした後に、擦り傷に絆創膏を貼ろうとした。

「希美先生!ボクが貼る!」

「颯馬くんが?」

「うん!だってボク、里茉のお兄ちゃんだもん!」

颯馬くんは本当に妹想い。妹を守る使命があると思っているみたいで、何か自分が出来ることを探そうとするその様は、とてもかっこいいお兄ちゃんだった。

「お兄ちゃん!希美先生!ありがとう!」

手当を終えた里茉ちゃんは満面の笑み。

「どういたしまして!颯馬くんも偉かったよ!さすがお兄ちゃんだね!」

と、颯馬くんの頭を撫でてあげた。

「ありがとう!!ボク、かっこよかった!?」

「うん!とってもかっこよかったよ!!」

私がそう言うと颯馬くんは照れ始めて、ニヤニヤとした表情になった。

「お兄ちゃん照れてるー!」

と揶揄う里茉ちゃん。そんな兄妹にホッコリする私。とても仲が良いなぁ。それにとっても可愛い。
こうして、子供達のいろんな表情を見れるからこそ、この仕事はやり甲斐がある。子供好きの私にはたまらない。

私の事を好いてくれる颯馬くんも可愛い訳だが、後日こんな事件が起きた。







帰りの会をする時に、颯馬くんの姿が見当たらなかったのだ。さっきまで園庭でみんなで遊んでいたのに、どこへ行ったんだろう。

その時だった。


「希美先生!!大変!!お兄ちゃんが!!」



「え!?」



妹の里茉ちゃんが私の事を呼びに来てくれたのだ。何が起きたのかと思ったら……


里茉ちゃんに案内されてやって来たのは、遊具の横にある木の所。上を見上げるとそこには細い枝に颯馬くんと野生の猫の姿が。

どうやら颯馬くんはあの猫ちゃんを助けるために、恐らくこの遊具に上がって、そこから伝って木に移ったんだと思う。

それで、登ったは良いものの動けなくなってしまったようだ。

「先生!お兄ちゃんを助けて!」

気が付けば、イチゴ組の園児達もゾロゾロと外に出て来ていた。

「颯馬くん!今先生がそっちに行くからね!!」

颯馬くんは怖くて動けず、木の枝にしがみついた状態で止まっている。半べそをかいていてるのに、颯馬くんはどうしても自分の力で猫ちゃんを助けたいのか、

「イヤだ!!ボクが猫ちゃんを助けるんだ!!」

と言った。

「そこから動かないでね!今、先生が遊具の方に行くから!」

私は急いで遊具の上に上がり、木の横までやって来た。遊具の手すりの間から手を伸ばし、

「颯馬くん、おいで!」

「イヤだー!!!!猫ちゃん助けないとーー!!!!」

「颯馬くん!!このままじゃあなたが落っこちちゃうわよ!!」

「うわああああん!!!!」

本当は高い所に登ってとても怖いんだと思う。この子はとても責任感の強い子だから、なかなか来ようとしなかった。すると、妹の里茉ちゃんが動き出した。

「誰かー!!先生ー!!!!」

なんと、里茉ちゃんが別の先生を呼んできてくれたのだ。下にいた園児の半分の子たちは里茉ちゃんに着いて行くようにして、一緒に先生を探しに走って行く。半分の園児は下に残り、

「希美先生!!頑張れ!!」

「颯馬くん!!頑張れ!!」

と声をかけ続けてくれた。

「みんな……」

そこへ、少しして別の先生がやって来た。園児達も戻って来た。

「希美先生!!私が猫ちゃんを捕まえます!!颯馬くんをお願いします!!」

先生は脚立を持って来てくれた。

「はい!ありがとうございます!」

距離的に私の方が颯馬くんに近いので、私が颯馬くんに声をかけ、

「猫ちゃんは大丈夫。今、はるか先生が助けてくれるから。ね?颯馬くん、おいで!」

と言った。でも颯馬くんは、

「こ……怖い……」

と言って、大粒の涙を零した。

「大丈夫だよ!!先生がいるから!!ゆっくり先生の腕にしがみついて!!」

「ううう……でも……」

これ以上、颯馬くんがこの枝にしがみついていると、きっとこの枝はそう経たない内に折れてしまうと思った。なので、いち早くここから救いたい。

私は遊具の床にうつ伏せる体勢になって、両手を突き出した。

「大丈夫よ!ほら、もう少しで先生の手に届くよ!」

そして下から、里茉ちゃんの声が。




「お兄ちゃん!!頑張って!!」



「颯馬くん。先生を信じて!」



ヒックヒックと泣きじゃくりながらも、颯馬くんはゆっくりと私の方に近付き、手を伸ばしてくれた。

私が颯馬くんの手を取った時、同時に向こうから

「猫ちゃん救出出来ました!」

という声が聞こえてきた。

「ありがとうはるか先生!!」

そして、やっとの思いで颯馬くんの事も救出できた私。颯馬くんと一緒に遊具を降りた後、颯馬くんは大声で泣き叫んだ。

「先生!ごめんなさい!わあああん!!!!」

「もう!心配したよ颯馬くん!なんでこんな危ない事したの!?」

私は颯馬くんを優しく抱きしめながらそう尋ねた。

「だって!だって!猫ちゃんを助けたかったんだもん!!それに、猫ちゃんを助けて、希美先生にかっこいいねって、また言ってもらいたかったんだもん!!!わあああん!!!!」

その理由は私が想像していたものよりもとてもピュアで、可愛らしいものだった。

「あぁ……そっか……そうだったんだね……でもね颯馬くん」

私は颯馬くんの涙を拭いながら、しっかり目を見てこう言った。

「希美先生も里茉ちゃんも、ここにいるみんなも、颯馬くんが大好きだから、颯馬くんに何かあったらみんなが悲しくなっちゃうんだよ。それに先生は、颯馬くんが辛い辛いって1人で流す『涙』じゃなくて、こうやってみんなで協力して『汗』を流したいな。ね?」


「希美先生……」


すると、


「颯馬くーん!!!!」

「お兄ちゃん!!!!」

みんなが私達の所に駆け寄ってきた。それに、はるか先生もやって来て、

「ほら、颯馬くん。猫ちゃんは無事だよ!」

と言って、その腕に抱き抱えた猫ちゃんを見せてくれた。

「猫ちゃん…良かった……」


なんて言うか、こうやって積極的に動物を助けようとする姿勢はもしかしたら、

“親の影響”だったりするのかも。

さすが、どこかの誰かさんの子だわと思えた。

「里茉ちゃん、教えに来てくれてありがとう。今度は里茉ちゃんがお兄ちゃんを助けたね!」

「うん!里茉もお兄ちゃん助けるの!」

私は里茉ちゃんと颯馬くんの2人をギュッと抱きしめて、兄妹2人の温もりを直に感じた。







その後、

「そうだったんだ……。いろいろとご迷惑掛けました……」

「ううん。こちらこそ、颯馬くんが居ないことにいち早く気付けなくて申し訳ありませんでした……」

私は迎えに来た颯馬くん、里茉ちゃんママと“パパ”に頭を下げた。

「“希美”、大丈夫だよ。助けてくれてありがとう」

「里奈……」

そう、この兄妹2人は私の高校時代の友達の、里奈の子供達。

「ママ!希美先生がお兄ちゃんの事助けてくれたの!かっこよかったんだよ!」

と言って、里茉ちゃんは里奈の服の袖を掴んでそう言って報告してくれた。

「そうだったんだ!希美先生大活躍だったんだね!颯馬、先生にちゃんとお礼言った?」

隣でパパとじゃれ合っていた颯馬くんは里奈の方に振り向き、

「うん!!」

と、元気よく返事をした。



すると、



颯馬くんは、里奈の隣に居たパパにひょいっと抱き上げられた。


「うりゃー!」

「わーい!!」


高い高いをされて喜ぶ颯馬くんと、それを見て柔らかい笑顔を見せるパパ。


「所で、今日はなんで彼も一緒に?」

「あぁ、たまたま今日は半休で。それで一緒に迎えに行きたいって言われて、買い出しもついでに付き合ってもらったの」

「あぁ、そうだったのね」


3人とも同じ高校で、2年生の時に同じクラスだったから、私も彼のことはよく知っているけど、高校時代の時は、あんなに“般若”みたいな顔ヅラをしてたというのに、

「希美先生、いつもありがとうございます」

とか言って、今では爽やかな笑顔さえ向けてくるようになっていた。

「ちょっとやめてよ。あんたが希美先生とか、違和感あり過ぎるから」

と返した。そしたら鼻で笑われてしまった。

「あぁ、そう?」

すると、パパ改め鈴木は、颯馬くんに

「偉いぞ颯馬。猫を助けようとしたってな!」

「うん!」

と言った後、颯馬くんのおデコと自分のおデコを合わせて、

「でもな颯馬、自分の事も大事にしないとダメだぞ。自分の命は1個しかないんだから。だからこそ、みんなで助け合うんだ。今度から、自分一人で出来ないことは、ちゃんと周りを頼るんだぞ」

と伝えていた。その言葉は優しくてそれでいて温かくて、とても逞しかった。

「うん!!」


そこにはもう、出会った頃の無愛想で冷酷で、心を閉ざしたような一匹狼の般若はどこにも居なかった。

ホント。すっかりパパの顔になっちゃって。


「よし、そろそろ行こうか」

「あぁ」

里奈は私を見て、

「じゃあ、また!」

と言う。

「うん。颯馬くん、里茉ちゃんまた明日ね!」

私は兄妹2人に手を振った。

「先生さよならー!」

「バイバーイ!また明日ねー!」

と、2人も振り返してくれた。

こうして鈴木一家は幼稚園を後にし、子供2人を真ん中に、家族4人で仲良く手を繋いで園内から出て行った。


「今日はママがハンバーグ作ってくれるぞー!」

「やったー!」

「ママのハンバーグだぁ!!」

「休みだから~、パパも手伝ってくれるんだってー!!!!」

「…え?」

「そうだよね!?パパ!?」

「……あ、ああ…」

「わーい!!」

「パパとママのハンバーグだー!!」



もう。なんて可愛い家族なのかしら。



私は4人の凸凹したシルエットが見えなくなるまで見届けた。




「またね。鈴木ファミリー」






こうして、親になった友達の成長を見守る事が出来る仕事なんてなかなか無い。





頑張れ、里奈。




そして、これからもずっと、お幸せにね。






fin.

「私はうさぎ以下ですか!?」シリーズ
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました‼️

子供描写って書くの難しいっすね……
でも、これを読んで少しでも
ホッコリした気持ちになってもらえたら
嬉しいです(´;ω;`)✨✨

鈴木と里奈の間にはこうして
颯馬と里茉という子供が出来、
ペットであるウサギのコロンと共に、
4人と1匹の生活を送っています💡
(あの後鈴木はちゃんと、ハンバーグ捏ねる手伝いに参加しています←)

一応これが最後の更新となります!

また、里奈や鈴木に会いたいな。
なんて思った時は、
この作品を見返してもらったり、
何かリクエストを頂けたら、新作をお届けするなど、
たくさん読者の方に還元出来たらと思っています‼️‼️

今まで本当に、ありがとうございました‼️
そして今後とも、
「私はうさぎ以下ですか!?」を
よろしくお願い致しますᕱ⑅ᕱ♥

2021.6.17 ちぁる

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