第17話

第6話「体育祭 里奈と鈴木と健吾!?」
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2021/05/07 09:42
こんばんは!
第6話お待たせしました🌟
今回は特に
里奈になった気持ちで読んでみてもらえると
キュンキュンする……かも?しれません!
お楽しみあれ‼️😍

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私はある日、とある夢を見た。

右には純白の世界が広がり、左には対局の、暗黒の世界が広がっていた。

まず純白の世界から、真っ白な王族服を身にまとった王子様の姿をした鈴木くんが、赤いバラの花束を持って現れた。

「え!?鈴木くん!?」

しかも、その鈴木くんはとっても優しい笑顔を浮かべていて、


「里奈、好きだよ」


と言うのだ。そんな鈴木くんにキュンとする私だけど、次の瞬間……暗黒の世界から今度は真っ黒な衣装を身にまとう悪魔の姿をした、とても恐ろしい顔付きをした鈴木くんが現れて、

「おい、貴様。」

と声をかける。

「ひゃっ!!」

私はそんな悪魔の鈴木くんの方に目をやった。そのまま悪魔の鈴木くんにこんな事を言い放たれた。





「そっちの世界の俺は残念ながら偽物だ!!俺の本当の姿は、こっちだ!!!!!!!!俺は、人殺しだ!!!!!!」







悪魔の姿の鈴木くんはそのまま、持っていた鋭い鎌を勢いよく振り下ろした。



なんの躊躇も無く。






「はっ!!」

目を覚ました時の私は、嫌な汗をじとっとかいていた。

それから一息ついて、ゆっくり体を起こした。


そしてまた、あの時言われた鈴木くんの言葉を思い出す。




ーー俺は……人殺しだ





鈴木くんは何故あんな事を言ったんだろう。鈴木くんはきっと、そんな事をするような人じゃない。


じゃあ……どうして………?








さては本当に人殺し……??








いやいや…もうこんな事を考えるのはやめよう。この事はもう、誰にも聞いてはいけないような他言無用の話だってことで、自分の中でもう忘れようって決めたじゃんか。

私は頭をスッキリさせる為にも、洗面所へ足を急がせ、冷たい水で顔を洗った。


それから学校へ行く支度を終えて、家を出た。

でも、学校へ向かう道中でも、私は夢のことが頭から離れなかった。白王子の鈴木くん。悪魔の鈴木くん。どっちの鈴木くんが本物で、どっちが偽りの鈴木くんなの?なんて、夢で見た事をいくら考えたって埒が明かないというのに、そんな事ばかりを考えながら電車に揺られていた。

鈴木くんに片想いをして、もう4ヶ月以上が経った。それなのに、大して鈴木くんの事をちゃんと知れてない気がして、凄く寂しい気持ちになった。片想いってこんなに辛いものだったっけ。

それから電車を降りて改札を出た所で……


「あ」
「あ」


鈴木くんに出くわした。

今日はなんだか、会いたかったようで会いたくなかったようで、とても複雑な心境だった。

「鈴木くん、おはよう」

「……おう」

なんとなく一緒に歩く私達。でも、私達の距離はとっても微妙。鈴木くんは、私の横3、40cm程離れた所を歩いている。この距離がとってもむず痒い。もっと近付きたいのに、近付く勇気が起きない。
でも、せっかく鈴木くんに会えたんだから何か話しを振ろう。そう思って明るい話題を出した。

「明日だね!体育祭」

「……あぁ」

そう。明日は我が乙守高校の体育祭の日!楽しみなんだけど、私は実は運動音痴。その点では楽しみじゃないというか……。でも、このクラスでの体育祭は1度きり。鈴木くんもいる事だし、イベント事は大いに楽しみたいところだ。

「鈴木くん、種目は何に出るんだっけ」

「忘れた」

「そ!そんな訳!!」

相も変わらず鈴木くんは無愛想。私達、本当に動物園に一緒に行きましたよね!?って感じだ。鈴木くんとの距離を縮めるには、毎日のように動物園に行くくらいの事をしないとダメなのか!?

結局、私がベラベラと横で喋り倒す形になってしまい、あっという間に教室に着いてしまった。

全然距離が縮まらない事について、和彩達に昼休みにお弁当を食べながら相談をしてみると、


「つか、もう4ヶ月っしょ?告白すれば!?」


と言われた。

「は!?無理無理無理無理!!!!何言ってんの!?どう見ても今の感じじゃフラれてハイ!終了!ご愁傷さまです!じゃん!!!!」

私は和彩の意見に大反論。すると亜由がこう言ってきた。

「あえて告白すんの!フラれる前提で!」

「えぇ!?」

和彩と亜由が言いたいのは、鈴木くんはあまりにも鈍感中の鈍感だから、あえてフラれようがなんだろうと1度告白をしてしまって、私のことを意識してしまう状態を作ってしまおうという事らしい。

「言いたい事は分かった。でも、そんな事したって鈴木くんが告白の後、私の事を意識してくれるかなんて分かんないよ!?」

と、弱音な発言をすると、希美が私の背中を叩いてこう言ってきた。

「もっと自信持ちなって!里奈、黙ってれば普通に可愛いしさ!」

「おい」

「それに、私達からしたら般若と動物園行けちゃった事からして脈アリだと思うもん!」

「いやいや、単に彼は動物園好きなだけで……逆に動物園じゃなかったら断られてると思うよ」

そうだ。彼は“動物>人間”の考え方の持ち主だ。なので動物園に一緒に行けたからといって、脈アリだと決めつけてはいけないと思っていたのだ。

「般若、攻略めっちゃムズ!!」

と和彩。

「ちょっと!聞こえちゃうよ……」

すると亜由までも、

「ね!私達じゃ太刀打ち出来ないタイプだよね。里奈、悪い事は言わない。般若より良い人なんてめちゃくちゃいると思うからさ、この際、新しい恋をした方が里奈にとっても幸せだと思うんだよね」

と言ってきた。

私だって何度もそう思った。何度も鈴木くんの事好きなの辞めるって思ったし、あの冷酷強面クソ般若!!!!って何度も彼をウザいと思ったりもした。それでも、やっぱり鈴木くんのことを追っかけていたいっていう気持ちの方が毎度勝ってきてしまっていたのだ。


でもそれも……フラれてしまえば私の中での諦めも付くのだろうか?


「はぁ……。どうしよ。ホント難しいね」





結局、告白するのかしないのかも決められぬまま、体育祭当日を迎えた。

「行けー!!希美ー!!」

私は運動音痴なので、自分が種目に出ている時よりも、友達を応援している時の方が実は楽しかったりする。

極力、あんまり走る距離も無く、動かなさそうな種目を選んだが、

「いっったー!」

落っこちてきた玉入れの玉を顔面に命中させちゃうし、

「だずげでーーー!!」

楽しそうだと思って選んだ障害物競走の時は、網のエリアで上手く進めず、醜態を晒す事になるし、全然良い所無しだ。見に来ていた家族にも笑われ、弟なんか私の指をさしながら、

「だっせー!!」

と言ってきたのだ。終いには……

珍しく、鈴木くんが篠山くんとニヤニヤしていたのでどうしたのかと尋ねると、

「ごめん、網に引っかかってる吉田さんが面白くてコイツと笑ってた」

と篠山くんに言われ、挙句の果てに鈴木くんから、




「網の罠にかかった魚にしか見えなかった」




とまで言われた。



私は魚だと!?



ショック過ぎて、暫く撃沈していた。

少しして、飲み物を買いに昇降口付近の自販機まで足を伸ばしていると、そこでたまたま後輩の健吾に会った。

「おお!里奈ちゃん!」

健吾は元気よく手を振ってくれた。

そこで私は健吾に、今の胸の内を話してみる事にしたのだ。



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