どれくらい歩いただろうか
急に涼介が立ち止まったかと思うと
後ろをふりかえって抱きしめてきた。
自嘲気味に笑う涼介を見ていると
更に込める力が強くなった。
分かってる、私は。
涼介に思わせぶりさせちゃった。
ごめんて言ってすむことじゃないよね
サイテーだ
私……
そう言って
ほっぺをつついてきた。
笑顔を見せると涼介は笑って
不意に右手に温もりを感じた。
そう言って、涼介と
少し寄り道して帰った。
この時の話はまたの機会に譲ることとします。
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あなたの体はかなり危険な状況です。
緊急手術を行います。
二宮さん
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今から手術……
こんな時にこんなこと考えるの場違いかもしれないけど
今すぐにでもここを抜け出して
会いたいよ……
さっきまで会ってたのに。
少しでも離れるとこんなに寂しいもの……か
ねぇ
次、君が僕に会うとき
僕の状態に君はどう思うんだろう
【つづく】
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。