梅原「光村、ごめんな」
その言葉にの意味がわからず思考が停止して思わず首を傾げてしまう。
何に対してのごめんなのだろう。思い当たる節も無く、むしろ私からごめんを言いたいくらいなのに。
梅原「お前のプライバシーのこととか考えないで行動したことも、助けに入るのが遅かったことも、全部。悪いと思ってる。」
あなた「全部梅原さん被害者側ではないでしょうか…?」
梅原「江口さん心配させて挙句の果てに怒らせたの俺だし。あの人怒ったらあんなになるんだな。」
昔から散々怒らせてみたいと言っていたからか、珍しいものを見た時の子供のようだ。
確かに江口さんは怒らなくて誰にでも分け隔てなく優しい人だけれど、
あんなことで怒ることがあるのだな、と私も内心驚いてしまった。
あなた「笑い事じゃないんですから、今江口さんも私も大炎上中なんですよ?」
梅原「まぁそれは…」
あなた「私が悪くないことはないし江口さんが悪いとは言えないし…」
同じことを頭の中で反芻しながらどうするべきかを考えた。
梅原「…やっぱり謝るしかないよな、土下座したら許されると思う?」
あなた「土下座なんてする気ないくせに」
2人で小さく笑い合う。
ほんの少しだけ不安が和らいだ気がした。
あなた「あ!そういえば注文してなかったですね!すいません!!」
呼ぶと小走りでこっちへ来て笑顔で接客してくれる。
あなた「ストレートティーとバニラアイスください!梅原さんは?」
梅原「同じものください」
あなた「え、あ、じゃあ二つずつお願いします!」
店員さんは確認のあと急いで厨房へと戻って行った。
あなた「ここすごい素敵な雰囲気ですけどほんとに誰もいませんね、穴場かも!」
梅原「よくそんな能天気に話してられるな笑」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。