プリ小説

第5話

5*
バスを降りたらまず、速攻でみなみちゃんのところに行った。

「みなみちゃん!」
「そんな怒らないでってー。楽しかったでしょ?」
「楽しむ余裕なんかなかったよ!!」

本当に、どれだけドキドキしたことか……!
と、怒ってはいたけれど。

「でも、……ありがとう」

みなみちゃんが私のためにしてくれたことだって分かってたから、あんまり本気で怒る気にはなれなかった。
少し驚いたあと、みなみちゃんは笑った。

「いいんだよお礼なんて。旅行中もさりげなく応援するから、頑張れ!あなた!」
「……うん!」


「世良くーん!」


――私たちの笑顔を崩す、日野さんの声が聞こえた。

「ねぇねぇ、私たちの班もさ、世良くんたちと一緒に回っていいかな?」
「……俺たちと一緒に?」

世良くんは戸惑っているものの、自身の腕に絡んでくる日野さんのことを拒む様子はない。
だから、もしかして世良くんも――……なんて思ってしまう。

「んー……」

世良くんが助けを求めるような目で瀬戸くんを見た。
それに瀬戸くんは首を振る。
続いてみなみちゃんに目を向ける世良くん。
みなみちゃんも首を横に振った。

世良くんは困った表情で宙に視線をさまよわせる。

「……えーと、うん、わかった。いいよ」
「!?」

いい……の……!?

「やったぁ!ありがとう世良くん!ていうか亮くんって呼んでいい?」
「あ、うん、呼び方はいいよ。好きなので」
「わかったー!亮くん!」

満面の笑みの日野さんに、世良くんは控えめな笑顔を返す。
なんだかいい感じな二人。

世良くん、困ってるように見えたけど……実は照れ隠しで、本当はこれを待ってた……とか?
最近よく話してるところ見たし、もう付き合ってたり……。

悪い妄想がどんどん加速していく。
こんなに不安になるのは、日野さんが美人で、私より人付き合いが上手いから。

勝っているところを見つけられなくて、自信がないから――。

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さとう
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