プリ小説

第6話

6*
暗い雰囲気のあなた、愛想笑いを浮かべる亮、亮と腕を組み笑顔でしきりに話しかけている梓。

「「…………」」

みなみと瀬戸は、互いに目を合わせ、意思を確認し合った。

――あえて、あなたと亮の手助けはしない。

一回助けたら一回放置。あなたたちのためにそうすると、バスの中で決めたのだ。

「……助けたいなー。すっごい助けたい。あなた絶対悲観的になってるよ今」
「励ますくらいはいいんじゃね?」
「でもそしたら毎回助けたくなっちゃうから……ちょっと瀬戸、あなたのこと呼んでよ」
「は?……はいはい。おい、楪」

下向きだった顔を上げて、あなたが瀬戸を振り向く。
瀬戸は「こっち来いよ」と言った。

「……ありがとう」

正直、仲良さげに話す亮と梓を見ていたくなかったあなたは小さく微笑んで瀬戸たちの元へ歩み寄った。

その一部始終を亮が目で追っている。

「亮くん、聞いてる?」
「ごめん。聞くよ」
「もー、ちゃんと聞いててよ!でね……」

楽しそうな梓。あちらの三人も、同じように楽しそうだ。
瀬戸にお礼を言った時のあなたの微笑みが、亮の脳裏に浮かんでは消える。
今まで意識していなかったが――二人は仲が良いのだろうか。

もし、あなたが瀬戸のことを好きだったら。

それで瀬戸も、あなたを好きだったら。

「亮くん!」

怒気を孕んだ梓の声が響き、亮は我に返る。
急いで笑顔を取り繕って、それからはきちんと梓の話に耳を傾けた。

亮はまだ大丈夫だろうと思ったのだ。あなたがいきなり誰かのものになる想像をできていなかったのだ。

そしてそれは、あなたも。


“まだ大丈夫。だから、いつか”


「大丈夫」なんて保証はどこにもないのに。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

さとう
さとう
よろしくお願いします