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第1話

1*
――教室に着くと、一番に探してしまう。

「……いた」

その人を見つけて小さく、呟く。
世良せらりょうくん。二年連続で同じクラスの、私の――好きな人。

「あなた!おはよー」

背後から明るい声がして、ついビクッと驚いてしまった。
私はその声の持ち主が誰か分かっていたので、申し訳ない顔をして振り返った。

「……ごめん。おはようみなみちゃん」
「うん!あたしこそ、タイミング悪くてごめんね?」
「いや、そんなこと!い、いってくる」
「いってらっしゃーい」

みなみちゃんの笑顔を背に、私は世良くんへ歩み寄る。
世良くんは自分の席に座った状態で世良くんの周りを囲む友達と話していて、やっぱり人気者だ。
挨拶だけでも、少し勇気がいる。

「おはよう!世良くん」

今日も頑張って、私は世良くんにそう言った。
世良くんの視線が友達から私へ移る。

「おはよ。ゆずりはさん」

ふわり、と世良くんが柔らかく笑った。
自分の顔が赤くなるのを感じ、私は頷くフリをして俯いた。

中学校から一緒の世良くん。ずっと片想いしてるけど、チャンスを自分から手放してばかりで未だに告白できていない。

高校卒業までには告白したいけど……。

顔を上げて世良くんを見ると、世良くんはその前から私を見ていたようで、思いきり目が合った。
ニコニコしながら尚も見つめてくる世良くん。
そ――そんな顔で、なんで私なんか……!?

「じ、じゃあ!」

世良くんの視線に耐えきれず、私は逃げ出してしまった。
「うん」と優しい声が背中にかけられ、ドキンと胸が高鳴る。

……世良くんに笑顔で見つめられるの、いつものことだけど、緊張しちゃうなぁ……。全然慣れない。

なんで、私と話す時だけ、すごく笑ってくれるんだろう……。





離れた場所から、みなみと瀬戸せとという名の男子があなたと亮のやり取りを眺めていた。

あなたが席に着くのを見届け、みなみが呟く。

「……あー、じれったいなあの二人は」
「どう見ても両想いじゃんな」
「それな。でもお互い鈍感だし……気付かせる方法とか……あ」
「何?」

疑問の表情を浮かべる瀬戸へ、みなみはパンッと手を合わせた。

「瀬戸。協力してください」

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さとう
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