
第12話
TWELVE
湯川さんが、私のこと気になってるだなんて…
イケメン男性が、まさかたかが高校生を気になってるとは…
『コンコン』
そんなことを考えていると、自室のドアをノックされた。
誰がこんな時に…?今は春夏は、千尋さんのところに行ってるし、剣人くんはトイレに行ったばっかだし…私になんの用だろう。
現在午後11時17分
相手が湯川さんと分かったので、快く自室に招き入れた。
湯川さんは、そう言って少し恥ずかしそうにした。
なんか…イケメンがモジモジしてる…
世の女性はこういう姿にドキドキするのだろう…
申し訳ないけど、私はジヌさんが好き…
ちゃんと、断らないと…
湯川さん…すごく悲しそうな顔をしてる。
なんか、申し訳ないな…でも、ジヌさんが好きな気持ちは変わらないし…
しばらく沈黙が続いていたけど、口を開いたのは湯川さんだった。
湯川さんの表情は、悲しそうな顔からみるみるうちに怒りに満ちた顔になった。
え?湯川さん…こんな人だっけ?すごく…怖い
私は怖くて、声も出すことが出来なかった。
どんどん、湯川さんは近づいてくる。
私は必死で声を絞り出した。
湯川さんは、私の肩をがっしりと掴み押し倒した。
湯川さんの狂気に満ちた表情に怯えて、手も震えている。
必死で湯川さんの肩を押し返すけれど、相手は成人男性。たかが女子高校生の力で勝てるわけもない。
湯川さんは、私のシャツのボタンに手に掛け、外していく。
もう、無理か…
『バンッ!』
剣人くんは無言で私に近づき、そっと毛布をかけてくれた。
私が震えているのに気がついて、優しく肩を寄せてくれた。
そっと、立ち去ろうとしていた湯川さんを、剣人くんは、即座に引き止めた。
そして、湯川さんは自室から去っていった。
この時、少しだけ剣人くんがすごく男らしく見えた。
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