第13話
THIRTEEN
_翌朝_
昨日のことが脳裏に焼き付いて離れない。
思い出すだけで、怖くて体が震える。
剣人くんが肩に手をかけただけなのに、体が勝手に異常なまでの反応を示す。
もう、男性が怖くて信じられない。
なんか、剣人くんには迷惑ばかりかけている。
今度、なんか奢るでもしなきゃな…
そして、気持ちを落ち着けて、私は部屋を出る。
仕事内容を聞くため、ロビーに向かう。
思わず後ずさりする。
そう言って湯川さんは勢いよく頭を下げた。
湯川さんは苦笑いした。
でも、お互いあのままだったらきっと、もっと溝が深まっていたと思う。
そういう意味では、仲直り出来てよかった。
運良く、廊下で千尋さんと会うことが出来た。
きっと、剣人くんが伝えてくれたのだろう。
そう言って、千尋さんは笑顔を見せてくれた。
そして私は走って彼らの部屋に向かった。
早く行かなきゃ…
『ドンッ』
一瞬よそ見をしたら、誰かにぶつかってしまった。
うっわ!やばい!ジヌさんだ…
こんな時に、ジヌさんとぶつかっちゃうなんて…
変に緊張する…
すごく優しい笑顔…
私以外の人にも、この笑顔…見せてるんだろうな。
そう思うと、何故か胸がキュッと締め付けられる。
『ギュッ…』
私は無意識に彼に抱きついていた。
ああああああああぁぁぁっっっっ!!!!!
やってしまったァァァァ!!!
………嫌われた、絶対嫌われた……
どうしよう…キモい女だと思われてたら…
絶望的…
オワタ…
気持ちを切り替えるしかない。
私は気持ちを整えて、彼らの部屋のドアをノックした。
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