僕がトイレから帰ると
あの子がたってた。
最初は幻覚かと思って目を何度こすった。
でも幻覚じゃなかった。
もしもボクが君と付き合ってたら
抱き合って一緒に温もりを感じられただろう。
でもできないんだ。
何となくもやもやした気分のまま…
時間が経つにつれ
あのこの様子がおかしい。
フラフラしてる。
お酒でも飲んだのか?
でもあの子はウーロン茶しか飲んでない
「ふわふわするねぇ~ニヒヒ」
にやけながら僕らに言ってきた。
さっきまでこの子が飲んでたのは
「ウーロン茶」じゃなくて
「ウーロンハイ」だった。
さっきまでノリノリテンションだった
のに
急にぐずぐずしだして
泣いちゃった。
好きな子がいるんだって。
どうしたらいいか分からないんだって。
僕だってわからない。
だって君が好きだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!