第15話

第5章 秘密の特訓
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2018/11/12 03:14
幸崎花音
幸崎花音
失礼しました
職員室を出てドアを閉める。
幸崎花音
幸崎花音
(……職員室って少し苦手。当たり前だけど、先生ばっかり……)
独特の雰囲気に緊張していた私は、ふうっと息を吐いた。
憧れのキョウと再会できた翌日から私は浮かれまくった。おかげで朝提出しなくちゃいけなかったプリントをすっかり忘れていた。
よし。帰ろう! と、気を取りなおして振り向いた時だった。
幸崎花音
幸崎花音
(あ……響だ! こっちに向かって来てる)
響も気がつき、目が合う。まさかこんなところで会えるとは思ってなくて、嬉しくて心が舞い上がった。
幸崎花音
幸崎花音
響さん、こんにちは!
佐鳥響
佐鳥響
……ちは
私のテンション高めの声に響は思わず口元をほころばせ、メガネのブリッジを人差し指ですっと直した。ちらりと職員室へ視線を向ける。
佐鳥響
佐鳥響
呼び出し?
幸崎花音
幸崎花音
プリントを提出しに来たんです。……響さんも職員室に用事ですか?
佐鳥響
佐鳥響
俺は通りかかっただけ。てか、呼び捨て、ため口は?
幸崎花音
幸崎花音
え? あ、ごめんなさい! ……じゃなかった。ごめん!
まだ慣れてなくてあわてて言い直すと、響にくすっと笑われてしまった。
幸崎花音
幸崎花音
……やっぱり、すぐには無理です!
佐鳥響
佐鳥響
じゃあ二人だけの時は呼び捨てね
幸崎花音
幸崎花音
……頑張ります。あ! 響さん。翔のことで報告があります! 本当は今日の放課後秘密基地に行ったときに言おうと思っていたんだけど……
“秘密基地”とは、昨日響と話をした地下のスタジオ『SOUND』のこと。RAISEのメンバーはそう呼んでいると教えてもらっていた。
佐鳥響
佐鳥響
報告? 翔の母親と連絡が取れたの?
響の表情に真剣な色が混ざる。
幸崎花音
幸崎花音
えっと、それが……
すぐに連絡を取ると期待させてしまった手前、言葉を濁していると、響はこの場所が悪いと思ったらしい。
佐鳥響
佐鳥響
移動しよう。こっち来て
言いながら、すぐそばの階段を上りはじめたため、急いで響のあとを追った。
連れてきてくれた場所は、北校舎四階の音楽室だった。なぜか響の手には職員室にあるはずの鍵があって、鍵を開けるとスタスタと入って行く。
幸崎花音
幸崎花音
響さん……
佐鳥響
佐鳥響
ひびき。またさん付けした。……怒るよ?
幸崎花音
幸崎花音
きゃー! 響、ごめんなさいっ!
響がデコピンのかまえをしたので、慌てておでこを両手で隠した。
次の瞬間、デコピンではなくてぽんと響の手が頭に触れた。
佐鳥響
佐鳥響
努力してね
ふわりと微笑まれ、胸がとくんと反応した。

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