美空は5限目が始まっても、教室にいなかった。
な、なんでなのかな?
どこに行ったの………美空?
莉音は、足を組んでふざけた様子でそう言った。
陽奈は大声で笑っているし………、
ほかのモブキャラの一軍もクスクスと笑っている。
絶対に…、絶対に何か、知っている。
私は咄嗟に、優衣を見た。
優衣なら何か知っているんじゃないかと…。
そう思って…、
隣の隣の席の優衣と目が合えば、優衣は目を少しばかり見開いてから、目を逸らした。
優衣が…やったの?
私は後ろにいる沙月も見るために、ばっと振り返った。
その反応は、優衣と同じ反応だった。
やっぱり、2人が何かやったの………かな?
いや、そんなことは無いはずだ。
なにかを知っていたとしても…。
2人がするはずがないんだから…。
私は授業が終わってすぐに、優衣の所へ向かった。
沙月も呼び寄せて、私は問う。
2人はダンマリとしてしまった。
これは…、絶対に何か知っている。
本当になんで…、なんで教えてくれないの?
2人はなにを隠しているの??
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!