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第24話

澄んだ心の少女は
詩織が屋上を訪れる少し前ーーー。
美空のターンです。

******


私に母は言った。
前原家の母
もう、美空ちゃんはいらないわ。
もう、自由にできない私に、
母は言った。

『入院費だけは払っておくから。』と。

それを付け足して言った。


父が死んだ喪失感からか、家事ができなくなった、母にとって私は家事をやってくれる人でしかなかった。

それは、知っていたけど…さ。


こうも唐突に突きつけられるとなると、
意外にもだいぶ、傷つくものだった。


だからね、死のうと思うの。



別に、だからって、わけでもないんだけどね。
一番は、妹が、

トイレで、押し倒した時に、

七瀬が死ねって言ったから。
消えて欲しいって言ったから。


入院して、七瀬から、ある手紙をもらった。
何か言いに来たとかではなくて、

それだけを渡すためだけに来たらしくて。

何も話さずにすぐに帰っていった。


ぴったりと封がされていた。

手紙は妙に、封筒がやけていて。

だけれど中の手紙は、綺麗な白色のままだった。


3枚によって綴られた長文。
『美空へ。』と、一番はじめに大きく書かれていた。
はじめの1枚目も2枚目も、どうでもいい内容だった。
本当にどうでもいい内容。

どうでも良くなかったのは3枚目だけ。

死んだ父からの手紙だとわかった3枚目。





『美しい空と書いて美空ーーーー。

その名前は、妹の七瀬につける予定だったんだ。

美空……、いや、お前は俺達の子供じゃない。
ごめんな、何度頑張ったってお前を愛すことはできなかった。

お前は、俺の妹の子供だ。


七瀬と、偶然にも同じ日に生まれたお前。
今となっては必然だったのかもしれない。

俺の妹は、お前を生んで死んだ。
もともと弱い体だったからか、死んでしまった。

お前の父親も逃げやがったから、俺たち夫婦がお前を引き取った。』


『お前に美空と、つけたのは、

俺たち夫婦がお前を愛するため。

愛する我が子につけるはずだった…、
七瀬につけるはずだった『美空』という名前を、

美しい空のように、澄んだ綺麗な心の持ち主になって欲しい…という想いを込めた名前を、

お前を愛するためだけに名付けた。』


『二十歳になったら名前の由来を教えるというのは、

お前に真実を伝えるということだった。

でも、俺はできそうにないから、今回は手紙に書いた。
そして、七瀬に渡しておくことにする。

七瀬には、封を開けずに、

お前のターニングポイントとなる時に渡してくれた伝えた。』

『本当にごめんな、美空。

愛せなかった俺を許してくれ。


そして、さようなら、美空。』
美空
そうか、そうだったのか。


妙に、私は納得した。

詩織に言おう。
ありがとうって。

お父さん、ありがとう。
私に名前をくれて。










『美空』とつけてくれて。

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ゆゆ
ゆゆ
ゆゆです 二ヶ月ぶりに浮上!! 【連載中】 『バイバイ1軍様』 ※そのままの所で2章に入ります。 『まってよ先生。』 【不定期更新】 『掲示板…?的なものです。』 【完結】 『君が髪を切る時に』 『バイバイ1軍様』 『いれかわりラブレター』 【休載中】 『フォーエバーゲーム』 【連載予定】 ☆100ーーーありがとうございます!!
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