第14話

美しい空と書いて(3)
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2019/05/06 11:00
美空ターンのラストです!

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私と『ななちゃん』の心の距離は途轍もなく離れていった。

私の知らない人になっていった。
『ななちゃん』はダンスがうまかった。
小学校の頃からダンスクラブに、入っていて、

中学のダンス部では、大会にて優勝トロフィーをいくつも手に入れてきた。

勉強はあまり得意ではない『ななちゃん』だったけど、近くの高校で、ダンス部があるのが、今、私たちが通っている高校だけで。

『ななちゃん』も遠くの高校に通いたくなかった事から、一番、偏差値の低い学科を受験することになった。


私は、『ななちゃん』と高校も同じ所に通うことができることが嬉しかった。

まあ、『ななちゃん』には舌打ちをされ、睨まれ続けたけど。



高校に入学したことが、私と『ななちゃん』の距離を、

溝を一層に深めた。
女子
七瀬って、兄弟とかいるの?
七瀬
『クソみたいな』双子の片割れが。

『ななちゃん』は、ダンス部の『期待の新星』と呼ばれるようになり、

学年でも目立つようになった。

学科が違うくても…だった。






…、そして始まった。


ーーーーーーーーーー私へのいじめが。
女子
七瀬の姉づらすんなよ!!
女子
全然似てないねー、このブスが!
七瀬
ほんとっ、家でてってくれればいいのに。


そりゃあ、わかってたよ。

私と違って『ななちゃん』がかわいいことも。
人に好かれることも。


だけどさ、私は、ただ『ななちゃん』が…、
双子の妹が大好きだっただけなのに。






ーーー美しい空と書いて『美空』

お父さん、教えてよ。
なんで私に『美空』ってつけたの?

今の私は曇り空……いや…、




雨空だよ。

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