第22話

置いていかないで
215
2019/05/10 09:24
私は、今、病院の屋上に向かっている。

何故なら……、、


『今日、お見舞いに来るなら、屋上に来て?』
そう、美空から連絡が来たからだ。


何か起こる気がしてたまらなかった。

ただ単純に景色を眺めたいだけ?
外の空気を吸いたいだけ?








ーーーーーーーーーーーー美空っ!!
詩織
美空?
学校帰りの放課後。

病院の屋上は、夕陽で照らされて。

美空の背中が見えたーーー。
美空
詩織、来てくれてありがとう。
慣れてきた、車椅子にすわった美空は、

私に背を向けたまま話し始めた。
なんでだろう…。
目から涙が溢れてしまった。
美空
私と逢ってくれてありがとう。
美空
私と友達になってくれてありがとう。
詩織
み、そら?
なんなの、美空?
ありがとう、だなんて。

別に今日言わなくてもいい、のに。
美空
詩織は私を幸せにしてくれた。
美空
ありがとう。
詩織
ちょっと、美空!?




待って、待ってよ……美空!!

私はまだ美空を幸せにできてもいない。
なのに…、

『幸せにしてくれた』なんて。

『ありがとう』なんて。
詩織
急になに、言ってるの?
美空は言葉を閉ざした。

本当に嫌な予感がする。
私を置いていかないで。

美空…!!




















美空
………、私ね?もう生きていたくない。

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